農民連『提言』パンフ読んで
明るい未来への分岐点に
酪農家 小井田寛周(ひろのり)さん
(岩手県九戸村)
持続可能な農業広げて
国民の命と食料を守れ
昨今の酪農危機によって露呈した日本の酪農の問題は、飼料・肥料等の資材の大部分を輸入に頼り切っていたということだと考えます。これらの資材などが安い値段で日本に供給されることが、日本国内で酪農経営が成り立つ前提になっているのです。
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放牧場に植えられた手打ちグルミの実を手にする小井田さん |
しかしこの酪農危機に直面して、それがあまりにぜい弱な土台の上に立っていたということが露呈しました。
農民連の「提言」では、酪農に限らずあらゆる農業分野で、これらの問題点が歴史的経緯に基づいて語られており、まず過去を知るということでも非常に重要な意味を持つと感じました。
そして、価格保障と所得補償抜きにはそもそも国内の農業を守るのは不可能だということが、海外の例をとっても明らかだと思います。
今現在、困難な状況にある農家を、まずは価格保障と所得補償の2つで守り、さらに「提言」にも盛り込まれているように、持続可能な農業を、国を挙げて広げていく。こうした方向こそ環境、そして国民の命と食料を守る産業へとつなげていくことができるのではないでしょうか。
過去の反省をせず、良い未来は作れません。今の農家の苦境が明るい未来への分岐点となってほしいと願っています。
(新聞「農民」2023.7.17付)
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