ビア・カンペシーナの
青年会議に参加して
農民連青年部 小田川遥平さん
(農民連食品分析センター)
国際農民組織ビア・カンペシーナ(LVC)青年アーティキュレーション(会議)が5月29日から5日間、インドネシアのバンテン州で行われ、東南・東アジア地域を代表して農民連青年部の小田川遥平さん(農民連食品分析センター)が参加しました。小田川さんの手記を紹介します。
コロナ禍を経て 6年ぶりの海外派遣
世界と再びつながった
青年会議には、アジア地域のほか中南米、欧米など30カ国ほどの青年代表が参加しました。全5日の日程の中で、今後4年間の行動計画と、どう青年の声をLVCの活動へ反映させるかを語り合いました。
この会議は青年のリーダーシップ研修も兼ねているため、課題を話し合うだけではなく、グループに分かれ交代で、会議を円滑にするための調整役、まとめ役などを担当しました。
この会議を通してLVCの活動目的を青年としてどのように達成していくか、コミュニケーション部門、教育部門、資金調達部門(資材など)の3つの部門に分かれ、アジア、ラテンアメリカ、ヨーロッパなど地域ごとにチームを組んで取り組んでいくことに決まりました。
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会議で発言する小田川さん(中央) |
モザンビークでは地域の青年が金銭面や政治の弾圧など様々な制約で自分の声をあげることができないなど、各地域の抱える課題を聞きました。日本との違いが見えるなかで、全国的に活動し地域の声を結集させて動く、農民連の活動の意義を学び直すことができました。
また、1人1人地域の声をきちんと聞き、相手を否定するのではなく「私たちなら変えることができる」と励ますことを呼びかける、活動への提言もまとめました。会議以外の時間も常に交流が盛んなLVCの海外青年の活動の姿勢から、これから日本で青年活動をしていく際、希望を軸に据えることが大事だと気づかされ、大いに励まされました。
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荒らされた土地に作物を植えて記念撮影 |
現地農民組織のたたかいを視察
土地収奪に法的手段で立ち向かう
3日目にはインドネシア農民組合(SPI)のメンバーとともにバンテン地域の農村の視察を行いました。はげ山になった場所へと案内され、地元農家のライスさんから説明を受けました。
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土地収奪とのたたかいを話すライスさん |
「私たちはここで3万5000ヘクタールある農地を1200の農家で使ってきましたが、あるとき政府が突然、土地の権利書が必要だと私たちの農地を取り上げ、企業へ貸し与えたのです。私は仲間たちとともに活動し、弁護士とともに権利書を作り、法的手段を持って今では5000ヘクタールまで取り戻しました」「全ての農地を取り戻すまでたたかいは終わりません」
農業、食料生産を持続可能にするために、まずは農民の権利を守るということの意味を改めて感じました。
コロナ禍の影響で農民連青年部としては2017年スペインのバスクで行われた国際総会に派遣して以来、実に6年ぶりの海外への代表派遣となりました。
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ミスティカ(文化交流)で各国の種の交流を行いました |
海外青年との活動を通して、各地域の青年の実態や声を集めて活動する意義を学び直すことができました。ここからLVCとの連帯を生かし国内外問わず交流や発信の取り組みを通して、全国組織としての青年部活動を充実させていきたいと思います。
LVC(ビア・カンペシーナ)とは
La Via Campesina (ビア・カンペシーナ=スペイン語で農民の道の意)は81カ国182の組織、小農を中心とした構成員総数は2億人以上という世界的農民組織で、農民連も加盟しています。
土地や種、水などの権利の確立、また生物多様性ほか天然資源の保全、自らの土地で自らの食べものを作る権利の確立、持続可能な農業生産の実現を活動目的としています。
2018年には国連で小農・農村で働く人々の権利宣言が採択されるなど、農民の権利を強く訴えてきたLVCの活動が農業・食料生産を続けていく手法として世界的に評価されはじめています。
(新聞「農民」2023.7.3付)
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