「農民」記事データベース20230703-1559-01

畜産農家を訪問して
見て・感じて・食べて

宮崎 新婦人と農民連共催で交流会


畜産の厳しい現状しっかりと学ぶ

 宮崎県は、和牛、養豚、養鶏とどれもが盛んで、日本でも有数の畜産県です。農民連会員にも免税軽油の申請運動などでつながる畜産農家が数多くいます。しかし昨年からの飼料や燃料をはじめとした生産コストの高騰や、コロナ禍による牛の販売価格の下落などで、畜産農家はかつてない経営危機に直面しています。そんな現状を、畜産農家を訪問して共有し、消費者の「食」とつなげて考える機会にしようと、新日本婦人の会宮崎県本部と、宮崎県農民連の共催で、「畜産農家を訪問して、見て・感じて・食べて、農と食を学ぼう」交流会を5月27日に行いました。

 出荷間際の900キロの牛と記念撮影

 この日はまず野尻町の和牛繁殖農家の片野坂孝寛さんの牛舎へ。牛舎には5人一組で入って、牛舎設備の説明などを聞きました。数日前に生れた子牛から出荷間近の若牛まで生育段階ごとに区割りされ、生まれたばかりの子牛は、母牛の隣で私たちに興味津々! でも、ちょっと怖いらしく3歩進んで2歩下がる姿がとてもかわいらしくて、癒されました。

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エサやり体験中の参加者

 その後は、小林市の肥育農家の〓山優作さんの牛舎に行きました。さっそく、参加者から「〓山さんのところは何頭の牛がいるんですか?」と質問があり、「肥育牛が200頭以上います」と回答すると、「うわ!すごい!」とビックリ。

 飼料はほとんどが輸入飼料に頼っていること、買い付けて間もない子牛と出荷直前の仕上げ段階の牛では、餌の種類が違うことなどを教えていただきました。また、実際に餌やり体験もできて、なかなか食べてくれませんでした。出荷間近の900キロ以上もある牛と、一緒に記念撮影することもできました。

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笑顔の参加者たち

 ハンバーグとステーキに舌鼓

 昼食は、近くの公民館に移動し、調理実習室で昼食の準備を参加者全員で行いました。

 メニューは、ハンバーグ、ピーマンソテー、サーロインステーキ、牛すじカレー、ベーコンスープ…と、食べきれないほどの豪華メニューで、参加者の方々も「ステーキやわらかくておいしい」「ハンバーグもおいしい」と、大満足の様子でした。

 お米ももちろん産直米で、ハンバーグとサーロインステーキは〓山さんから、ピーマンと玉ねぎは農民連会員に提供していただきました。

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〓山さんの牧場で大きな牛とパチリ!!

乳製品輸入許せない
畜産農家を守りたい

 日本の農業を知る企画やりたい

 昼食後は、〓山さんと農民連の来住誠太郎書記長を講師に、学習会を行いました。

 黒毛和牛の経営形態(繁殖経営・肥育経営・一貫経営の違い)や、粗飼料・濃厚飼料(配合飼料)などについて、動画で説明がありました。

 配合飼料が高騰していることや、子牛や肥育牛の生産費が販売価格に転嫁できず、農家の赤字が膨れ上がっていること、国内では脱脂粉乳の在庫がダブついて酪農家は乳価が上がらず苦しんでいるのに、WTO(世界貿易機関)のカレント・アクセス制度で、乳製品輸入が続けられていることなど、酪農・畜産が大変厳しい実態にあることを学習しました。

 参加者からは「牛乳を捨てさせてまで、乳製品輸入は許せない」「畜産農家を支援で牛肉産直はできないかな」など、色々な意見が出ていました。

 〓山さんから「色々なイベントを行って、日本の農業を知ってもらう企画をやってみたい」との声かけもあり、参加者から「素敵!やってみたい!」の歓声が沸きました。

 9月30日に農民連食品分析センターの八田純人所長を招いての学習交流会を計画していて、新婦人&農民連では、さらにコラボ企画を計画中です。

(宮崎県農民連 蕪cゆかり)


 ※〓は「吉」の異体字。

(新聞「農民」2023.7.3付)
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2023年7月

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