声明
健康保険証廃止・マイナンバーカード
取得強制は中止せよ
2023年6月5日
マイナンバー制度反対連絡会
国民のプライバシー権擁護へ
制度の抜本見直しを
「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案(=マイナンバー法等一部改正法案)」が6月2日、自民、公明、日本維新の会、国民民主党の賛成多数により、参議院本会議で可決・成立された。
同法は、健康保険証廃止によって、国民皆保険制度の根幹を揺るがし、そもそも任意のマイナンバーカードの取得・利用を事実上、強制するものであり断じて許されない。法制化を推進した政府・与党、賛成した一部野党に、満身の怒りを込めて抗議する。
マイナンバーカードをめぐっては、コンビニでの証明書交付サービスにおける他人の住民票の誤発行や、登録抹消済みの他人の印鑑登録証明書の誤交付、公金受取口座の誤登録など、国民の信頼を損なう不備が次々と露見している。
マイナ保険証では、他人の医療情報を誤って開示するなど、国民の命に関わりかねない重大ミスの発生が明らかにされている。事態の全容解明すら行われないまま、法案採決を強行したことは、まさに暴挙と言わざるを得ない。
公的医療保険制度では、保険者がすべての被保険者に、健康保険証を発行・交付することが大前提であり、法令上も保険者には健康保険証の発行が義務付けられている。一方、健康保険証を廃止し「発行・交付義務」から「申請主義」に転換する同法が、無保険者を大量に生み出す懸念は、国会審議を通じて、払拭されるどころか深まっている。
健康保険証を人質に、マイナンバーカードの取得・利用を強制する欺まんも、なんら解決されず、マイナンバー制度そのものが、国民のプライバシーを多大に侵害するリスクと不安も、個人情報漏えい事故をはじめとして、深まる一方である。
にも関わらず、同法は、これまで社会保障・税・災害対策の3分野に限定したマイナンバーの利用の歯止めを取り払い、法律で規定してきた事務・情報連携も政府の裁量で拡大することを可能とする。さらに、年金受給などの個人の銀行口座を本人から「不同意」の回答がなければ、自動的にマイナンバーとひも付ける特例も措置される。
政府は、マイナンバーカードありきの姿勢を改め、国民の人権保障、安全・安心を最優先にして、デジタル対応策を検討すべきである。
私たちは、国民皆保険制度を守るため、2024年秋の健康保険証廃止は中止し、あらためて現行の健康保険証を存続するよう強く求める。
頻発する誤登録や情報漏えい事故などの全容解明を優先し、マイナンバー制度の拡大は中止し、マイナンバーカードの任意取得を徹底するよう要求する。
(新聞「農民」2023.6.19付)
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