北海道食といのちの会講演会
子どもの健康は守られているか
急増している発達障害
有害な化学物質が原因か
5月27日に「北海道食といのちの会」(代表・久田徳二さん)は「子どもの健康は守られているか」のテーマで、環境脳神経科学情報センター副代表の木村―黒田純子さんと、北海道がんセンター名誉院長の西尾正道さんとの講演会を札幌市内で行いました。
|
討論する(左から)久田さん、西尾さん、木村―黒田さん |
木村―黒田さんは「文科省は小学生の8・8%が発達障害の可能性がある」とし、「近年に急増しているのは環境要因が大きく関わっている可能性が高い。社会環境などの要因も考えられるが、農薬などの有害な化学物質が原因とする研究が多く出されている。発達障害は個性の延長ですばらしい能力を発揮する方もおり一概に悪いとは言えないが、コミュニケーションに支障をきたし、本人も周囲も苦労するケースも多い」と述べました。
さらに、赤ちゃんの尿からネオニコチノイド系農薬が非常に高い割合で検出され、有機リン系農薬などを含め様々な化学物質に汚染されていることを強調し、「私の髪の毛からも検出され、日本人が有害な化学物質にさらされている。特に赤ちゃんは脳の機能を担う神経回路網ができる大切な時期で、有害な農薬による影響は計り知れない。農薬は基準内であれば安全ということではなく、農業以外に使われる農薬は法規制が異なり野放し状態で、規制が必要」と話しました。
規制一刻も早く
西尾さんは「私が医者になってからがんは4倍に増えました。問題はトリチウムで、動物実験では、子孫の卵巣に腫瘍(しゅよう)が発生する確率が5倍に増加し、生殖器の異常や脳の縮小、胎児の奇形などが報告されている。脳や神経に異常をもたらすネオニコチノイド系農薬と、発がん性のグリホサートは内臓の善玉菌を殺すために、病原体が大量に増殖する可能性が高く、一刻も早く規制すべきだ」と述べました。
「農薬に汚染された私たちはどうすればいいのか」との率直な声に、木村―黒田さんは「有機農産物などを食べていると徐々に薄れていく。でもあまり気にすると気が滅入るので、できることからやったらいい」と話し、西尾さんは「どういう農産物なのかわかるようにしてほしいですね」と答えました。
(新聞「農民」2023.6.19付)
|