酪農ヤバイです!
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意見陳述する金谷さん(右から2人目) |
この日は畜産・酪農をテーマに参考人から意見聴取が行われ、金谷さんのほかJA全農(全国農業協同組合連合会)の役員や研究者など4人が意見を陳述。唯一の生産者である金谷さんには、各党の委員から質問が集中しました。
日本共産党の紙智子参院議員から、酪農家としてのやりがいや、酪農危機を訴える取り組みについて尋ねられた際には、金谷さんは言葉を詰まらせながら「酪農危機を訴えるなかで消費者から『いつも牛乳を搾ってくれてありがとう』との言葉をたくさんいただいた。これは初めての経験で、うれしかったし、やりがいになった」と回答。
他の議員からも、「金谷さんの涙にぐっときた。酪農家の危機感を強く受け止めたい」(無所属の須藤元気議員)、「私も消費者として心からお礼を言いたい。皆さんを絶対に搾取することのないような制度づくりのためにがんばりたい」(無所属の寺田静議員)など、大きな反響が寄せられました。
この日は、酪農家など金谷さんの友人や、東京・千葉の農民連など16人が傍聴にかけつけ、金谷さんを応援しました。
傍聴にかけつけた皆さんと金谷さん(前列左から3人目)=撮影:白鳥悳靖さん |
酪農家の収入の基礎となる乳代は昨年来2回引き上げられましたが、またも為替が円安となっており、不安が拭えない状況です。「いつになったら終わるのか」と多くの酪農家が思っています。早くしっかりもうけが出るようにしてほしい、そこに尽きると思います。
物価が上昇し、酪農家も厳しいですが、消費者はもっと厳しいのではないかと思います。乳価へのコスト転嫁を求めた結果、消費が落ちてしまっては意味がありません。北海道のように子育て世代に牛乳券やお米券を配るなど、消費者支援ももっと力を入れていただきたい。
酪農家の離農が加速度的に進んでいます。毎日赤字を積み上げている現状では、離農を選ぶのも無理はないと思います。高齢化が離農の理由ともいわれていますが、結局、後継者問題なのではないでしょうか。働いたら働いた分だけもうけが出るならば、皆一様に後継者に継がせたことと思います。
せっかくつくり上げてきた生産基盤が日に日に失われています。牧場がなくなれば町、村の消滅につながるという地域があります。とくに大規模ほど利益が出やすく、小規模牧場でもうけが出づらい状態が長く続き、家族経営の小規模牧場がどんどん減っています。だからこそ小規模牧場や新規就農者こそ手厚い支援をするべきではないでしょうか。たとえば戸別所得補償のような形で若者の参入を強力に後押しできる体制にしていかなければ、酪農の未来は衰退すると思います。
酪農家の社会的地位がとても低いと感じている酪農家が大変多いです。365日休みのないこの仕事をボランティアでやっているわけではありません。生活があります。人並みに休みたいし、その上でもうけが欲しいです。しかし現状はその逆で、胸を張って若い人に勧められません。
100年後の日本酪農のありようを想像しても、日本人の手で搾った牛乳はほんの一握りになってしまい、かつては酪農業が盛んだったと昔話にならないでしょうか。
最後に、もう一つだけお願い申し上げます。短期的な支援がいまだ必要な酪農家が多いです。ぜひとも1頭10万円の補助金をご検討くださるよう、お願いいたします。
[2023年6月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
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