旬の味
先月主人の父との突然の別れが訪れた。父は数年前から徐々にこの世の風習と距離を置く準備をしていた▼80歳になる前の父の誕生日プレゼントのお礼状に「報告を漏らしていましたが、私、誕生日を返上しました(返信先?それは不明です)ので、今後、お気遣いは無用です。いわゆる永遠の50代(気持ちは)です」とユニークに書いてあった。さすがだなあと思った▼そんな父は80歳に向かっていく数年間にわたって年賀状じまいをして、節々の短い手紙の文末には必ず「自分たちの事に集中してください。私たちの事はお気になさらず」と書いてあった▼亡くなる前の手紙には「私の事は忘れてください」とあって切なくて泣いてしまった。様々なしがらみに必死にしがみついて生きる私には到底たどり着けない境地にいた父▼やりとりした手紙の中で一生忘れられない言葉をたくさんもらった。最後まで言うことを聞かない嫁になってしまいますけど、お父さんのことは忘れません。ありがとうございます。 (恵)
(新聞「農民」2023.5.29付)
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[2023年5月]
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