発見
農の現場から
和歌山県農民連会長 土井康弘
“ドイちゃん米おいしい!”
の声に励まされ
私は、今年の和歌山県農民連大会で会長に選出された土井康弘です。
ゼロから始めて無農薬栽培学ぶ
和歌山市の北東部、和泉山脈の麓(ふもと)から紀ノ川の北岸までのエリアで米、路地・ハウスの野菜栽培をしています。栽培面積は1・3ヘクタールの夫婦2人で営む小さな農家です。
私は地元の大学を卒業後、大阪で暮らし、生協職員、その後社会福祉法人職員として働いていました。父親が亡くなったのを機に農業を始め、和歌山に帰ってきたのが13年前です。
農業一本で食べていこうと決意したものの、農家の息子ですが、農業経験がなくゼロからのスタートでした。無農薬栽培の私の田畑は雑草だらけ。栽培をどうする、経営をどうする、確定申告は…。
就農3年目で出会ったのが和歌山市農民組合の組合長でした。その後農民連の県役員になり、周りに心強い仲間ができ本当に良かったと思っています。
販売先は夫婦で夜な夜な住宅地にチラシを配り、看板やポスターを張り開拓してきました。現在、米は高齢者施設・障害者作業所や個人に直接販売、野菜は3つの直売所で販売しています。
米ではほとんど収益がでないので、野菜でその分カバーしないとやっていけない現状は今も変わらず、収入を安定させるため多品目小規模栽培。就農したての頃は、栽培経験が大事と30数種類もの野菜を栽培していましたが、今は15種類20品種に絞り栽培しています。
農民連の仲間とともに
農の応援団増やしたい
少量で多品目を年間通して栽培
一年中、なにかしら栽培、収穫、販売していますが、特に4月、5月はとんでもなく忙しい時期です。
レタス、タマネギ、エンドウ、ニンニクと収穫が続くなか、ズッキーニ、ミニトマト、オクラなど夏野菜の植え付けが始まり、さらに田植えに向けた作業もプラス。
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ミニトマト苗の植え付けの遅れを取り戻すべく駆けつけてくれた友人との植え付け作業。手前が土井会長 |
娘夫婦や遠方で暮らす息子も休みには農作業を手伝ってくれるものの、頼りになるのが和歌山に帰ってきてからできた友人、元職場の同僚や大阪で暮らしていたころの友人です。「大丈夫か?何か手伝うことない?」と声をかけてくれ、今年も駆けつけてくれています。
「世界で最初に飢えるのは日本」といわれる今日、農の応援団を増やすこと、農業者が手をつなぐこと、この国の農への考え方をかえさせること、それらがつくづく大事だと感じています。
「“ドイちゃん米”やっぱおいしいな!」と言ってくれるお客さんの子どもの声に励まされ、今日も踏ん張っていきます!!
(新聞「農民」2023.5.29付)
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