発見
農の現場から
東京農民連会長 武山健二郎
東京の畜産経営を
守る活動に勇躍して奮闘
都内の酪農家を一軒一軒精力的に訪問
酪農家の訪問で切実な声を聞き
東京農民連はコロナの問題もあって、今年2月27日、3年ぶりに総会を開催し、新たな体制で活動を始めました。
この総会の準備と前後して、酪農危機突破のため都内40軒の酪農家に、畜産経営を継続するための要望書をもって連日一軒一軒訪問を行いました。
飼料の高騰による酪農家の経営の危機が様々な形で語られました。
|
酪農家と対話する武山会長(こちら向き左)=町田市 |
ある酪農家は「もうやっていけないよ」と一言、また「牛の飼育数をだんだん減らして赤字少なくしながらやっているところです」ともらします。
私たちに「本当に頼みます」と農水大臣あての要望書に協力する年配の夫婦。また訪問先の若い酪農家との対話では「いまは苦しいが、後々に酪農家が必要な時は必ずくると思うので、若い牛を育てながらがんばろうかと思っている」と酪農に未来を託している思いを話してくれました。しかし酪農ヘルパーの方と牛舎で面会したとき、ヘルパーの方は、「本音は酪農をやめたがっているようだ」と語っていました。
酪農家間の情報交換は実に早く、農民連が呼びかけた危機打開の一連の行動は各酪農家に伝えられていました。
この訪問のなかで40軒の酪農家の経営を守り、危機打開行動の必要性を痛感しました。
牛1頭5万円の支援を勝ち取る
酪農家との訪問先で語られた酪農家の一言一言が東京の農家の現状を語っていることも同時に強く感じてきました。
経営危機の打開のためにたたかうことが、農民連の役割であることが強く自覚させられる訪問活動でした。
東京都は、畜産業を守るために畜産業緊急支援事業として酪農家にたいして牛1頭につき5万400円の支援を行いました。町田市でも支援事業が行われていることがわかりました。
酪農家はこの支援を大変喜んでいますし、励ましになっていますが、いまの経営危機を解決するまでにはなっていません。
こうした自治体の支援事業を強め、酪農家との交流を深めながら、全国の農民連の仲間と連帯して危機打開のため今後とも活動する決意です。
生産緑地の保全 都市農業振興を
東京農民連は生産緑地指定と都市農業の振興について、農家の要求に応えて活動を続けています。
令和5(2023)年の東京都予算案の概略の中で都市整備局は「急速に減少が見込まれている生産緑地」と評価し、緑の公園として保全するとしています。
東京の街に農地を残し、新鮮な食料を確保し、農業と環境が両立した街づくり、そうした都市計画を実現するために活動を進めています。
東京農民連は早速、いま策定中の東京都の農業振興プラン(案)に対して農家の要求に応えて、振興施策を行うことなどの意見を出しました。
生産緑地の農地と農業を守ること、東京の農林、島嶼(とうしょ)の農業振興を守るために奮闘する決意です。
(新聞「農民」2023.5.22付)
|