「農民」記事データベース20230522-1553-07

農家のための
税金コーナー
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大規模災害時の事業用資産
純損失の繰り越し可能に

 大規模災害時の事業用資産の損失繰り越しが、5年間可能になりました。

 (1)雑損控除は生活資産のみ対象で3年間

 これまでも雑損控除がありましたが、生活に関連する資産のみが対象で、控除しきれない雑損失は3年間まで繰り越しができました。

 2011年の東日本大震災では特措法により事業用資産の損失繰り越しが5年間認められていましたが、災害の多発を受け、今年の税制改正で特定非常災害に指定された場合は同様の措置が受けられることになりました。

 住宅・家財等の雑損失も同様に、特定非常災害時は5年まで繰越期間が延長されます。

 (2)特定非常災害とは

 特定非常災害とは、著しく異常かつ激甚な非常災害として政令で指定される災害のことです。

 東日本大震災をはじめ、16年の熊本地震、18年の西日本豪雨、19年の台風19号、20年の7月豪雨などが指定されています。

 (3)被害額や申告の種類で異なる扱いに

 被害額や申告の種類で扱いが少し異なります

 保有する事業用資産等のうち、特定非常災害に指定された災害により生じた損失(特定被災事業用資産の損失)の割合が10%以上である場合は、 (1)青色申告をしている人についてはその年に発生した純損失の総額、(2)白色申告をしている人については被災事業用資産の損失の金額と変動所得に係る損失の金額の合計額を繰越控除できます。

 特定被災事業用資産の損失の割合が10%未満の場合は、特定被災事業用資産の損失による純損失の金額を繰越控除できます。

 純損失とは不動産所得、事業所得、譲渡所得及び山林所得の金額の計算上生じた損失金額のうち、損益通算しても控除しきれない部分の金額です。

 (4)特定非常災害とその他の災害が同じ年に来たら

 特定非常災害で受けた生活関連資産の損失は5年間繰越控除ができますが、他の災害の被害は通常の雑損控除となり、残った雑損失の繰越期間は3年ですので、区別して計上しましょう。

(新聞「農民」2023.5.22付)
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2023年5月

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