汚染水の海洋放出反対
原発の新増設許さない
福島県農民連が政府・東電へ要求行動
原発推進で東電の賠償軽視進む
被害者と誠実な対話すらできず
福島県農民連は4月26日、国と東京電力(東電)に対する要求行動を行いました。県内各地からバス3台で約100人が集結しました。
県農民連の根本敬会長は「ミュージシャンの故坂本龍一さんが『たかが電気のために命を危険にさらさなければならないのか。電気はおのおので作ろうではないか』と呼びかけ『福島のあとに沈黙しているのは野蛮だ』と訴えた。福島を無視し、チェルノブイリ原発事故の日に原発推進法案を委員会採決するのは野蛮の極致だ。私たちは決して沈黙はしない」と訴え、要請書を政府と東電に手渡しました。
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会場いっぱいの参加で政府と東電を追及 |
不誠実な対応次々と明らかに
あんぽ柿と凍(し)み餅の生産者だった渋谷憲道さんは、事故後全く出荷ができていませんが、2017年の3年一括賠償後、超過分の賠償が未払いのままです。
東電は「凍み餅を出荷している生産者がいる」ことを理由に、凍み餅分は超過支払いだったと主張。渋谷さんの味と原料へのこだわりを無視し、一方的にあんぽ柿分と相殺して追加賠償を拒否しています。
干し柿農家の佐藤義信さんは昨年12月の要請の時に、東電が年内の回答を約束しました。しかし、年明けの1月4日に突然呼び出され、県の改植補助金を差し引いた賠償合意書への署名を迫られました。改植補助金の扱いは県や農協とは合意しておらず、不誠実な対応です。
経産省からも「補助金の性格は県に問い合わせればすぐにわかること。安易に差し引いて合意書を作成したとしたら軽率だ」と指摘されています。
会場からは「度重なる東電の訪問で生産者は疲弊している」と遅々として進まない賠償への怒りが噴出。期限を切って文書での回答を重ねて求めました。
高線量の農地で働く農家の
健康守る新たな枠組み作れ
また福島県連は事故直後から、放射線管理区域(1平方メートル当たり4万ベクレル)を超える放射能の残る農地で働く農民の健康を守るための制度作りを求めてきましたが、12年間全く進展していません。
厚生労働省は「除染等業務に係る放射線障害防止対策についてのガイドライン」をもとに対策をと言いますが、「ガイドラインは『高線量のところには近寄るな』となっているが、それでは仕事にならない」と指摘。「除染しろと言われてもできないところがある。今の法制度では対応できない。福島の農家の被ばくを防ぐ制度を作ってほしい」と重ねて要求しました。
厚生労働省の担当者は「農水省の農作業安全対策と相談する」と12年間変わらぬ回答に終始。
根本会長は「私の柿畑は最高で1平方メートル当たり23万3千ベクレルの線量があるが、そこで働くわれわれには何も補償はない。次の世代につなぐために、新しい制度が絶対に必要だ」と訴えました。
(新聞「農民」2023.5.15付)
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