農業収入
3年連続赤字だと雑所得に!
エエッ
国税庁 個別に事業性判断
農業の実態見ない対応許すな
3月の確定申告の時期に、一部自治体で、「300万円以下の農業所得は雑所得として扱うことになりました」「3年連続で赤字の場合は農業収入として認めない」とする案内文書が届きました。
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山口県周南市で配布された文書 |
しかも、山口県周南市では農業所得を申告した兼業農家が税務署で、「これは雑所得だ」と申告書の再提出を求められました。
「このままでは中山間地の農地を守る人がいなくなる」と怒りの声が上がっています。農民連は全国商工団体連合会(全商連)と共同で、3月30日、この問題について国税庁に説明を求めました。
昨年10月にあった所得税基本通達の改正が問題の発端です。当初案では300万円以下の兼業収入は一律「業務にかかる雑所得」とされるところでしたが、反対運動の成果で記帳があれば事業収入と認められました。
「3年連続の赤字があった場合は事業と認められない場合がある」など、一部条件付きとなっていますが、あくまで実態を見て個別に判断することになっています。
国税庁の担当者は「全国で平等な扱いをするために、一定の基準は必要」と述べるも、「事業と認められるかどうかを個別に判断するというのは変わっていない。収入が少ないかまたは赤字の場合は、その理由や改善のための取り組み内容を記載してほしい」と回答。
これを受け、山口県の会員は22年の収入減の理由や、今後の規模拡大など営農計画を説明し、収益向上を図っていることを所轄税務署に伝えました。税務署も「増収と改善を考えているのであれば」と受け入れ、無事に農業収入として申告できました。
赤字や少ない収入を理由に農業所得を認めない事例がありましたら、農民連までお知らせください。税務署に提出する反論用の文書(浦野広明税理士作成の鑑定書)も準備中です。不当な扱いには断固たたかいましょう。
記帳のおかげで持続化給付金もらえた
税金運動とりくみ仲間増やそう
農民連で一緒に学び記帳をすれば、こうした事態にも対応し、ちゃんと農業収入で申告できるだけではありません。
「農民連で税金やってて本当に良かったよ!」と話すのは徳島県板野町の高原洋市さん、久美さん夫妻です。
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「記帳していたおかげで買えました」と話す高原さん |
徳島県農民連では21年から県連で税金申告の運動に取り組み、学習会を行っています。
「当初は所得が少なく役場でも『申告は不要』と言われていました。しかし長谷川敏郎会長を講師に学習会を何回か開いたことがきっかけで、真剣に取り組み始めました。きちんと記帳していたおかげで、持続化給付金が受給でき、保冷庫も買うことができました」と高原さん。
「県の支援金申請にも記帳が役に立っています。農民連で税金をやっていて本当に良かったです」と話していました。
農民連の税金運動は憲法と法律にのっとった全く正当なものです。まわりの農家に大いに声をかけ、営農を守るため一緒に税金運動に取り組みましょう。
(新聞「農民」2023.4.24付)
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