奈良
「かしはらオーガニック」
科学的な土づくりと
栽培技術学ぼう
有機農業の実践報告会
地産地消で地域を持続可能に
有機農業の普及を目的として活動している奈良県橿原(かしはら)市の「かしはらオーガニック」(農家や消費者、橿原市で構成)は3月18日に市内で「有機農業の実践報告会」(オンライン併用)を開きました。
「かしはらオーガニック」は2020年に協議会として設立。そこから毎年、有機農業実践者を講師に講座を開き、科学的な土づくりや栽培技術、有機農業の優位性などを学んできました。地元の農協とも提携し、橿原市の学校給食へ納入する地場産有機野菜は、品目数・納入量ともに年々増やしてきました。
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昨年実施した有機農家を訪問しての勉強会の様子 |
土壌診断で施肥を検討
実践報告会では、参加農家から6人が発言。山尾吉史さん(「かしはらオーガニック」代表・米農家)は、所有する有機栽培の田んぼの土壌診断結果を報告。今年と昨年では収量の変化はない中で、土壌診断に基づく施肥設計と施肥の結果、土壌中のミネラル、微量要素(マグネシウムやカルシウムなど)の数値が見事に改善されたことを解説しました。
また、今年から産直センター秋じゃが部会として組織的に計画栽培を開始し、学校給食に納入する予定の「秋じゃが」についても報告がありました。
昨年、先行して試験栽培を行った喜多裕一さんが、10月の苗植え付けのタイミングでの留意事項や、ほ場の水はけ条件などを報告しました。新規就農者2人も有機農業の実践内容を報告しました。
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実践報告会当日の会場 |
継続に希望感じ新規就農者も増
来賓として会場参加していた亀田忠彦橿原市長は、参加農家の報告をすべて聞き「続けていくことにとても希望を感じた。耕作放棄地が増える中で、新規就農者が増えている」と感想を述べました。
収穫したサトイモや秋じゃが、有機の餅米でつくったぜんざいを参加者で食べて交流しました。
山尾さんは「私たちの考える優先順位、今やるべきことは、子どもたちの食を守ること。そのためには、地産地消が基本の持続可能な有機農業の仕組み作りと、地域の産業振興が重要。多くの人に賛同してもらえると思っています」と述べました。
(新聞「農民」2023.4.17付)
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