山形・鶴岡市
昨年11月から期間限定で無償化実現
学校給食無償化を求める運動
全国で広がる
わずか1カ月半で4600人超える署名
「ぜひ継続を」
憲法で義務教育は無償とされているにもかかわらず、学校給食は70年近くも有償のままできました。物価高騰で学校給食費を値上げする自治体も増えています。
日本農業新聞の調査では、小・中学校の給食を実施する全国約1600市区町村のうちの3割、451の自治体が2022年度に無償化を実施しています(小・中学校とも)。
こうしたなかでいま、学校給食の無償化と地場産・国産利用を求める運動が全国で広がり、オーガニック給食を求める声も広がっています。「選挙対策」とはいえ自民党が「無償化」を言わざるをえなくなっています。学校給食の無償化と地場産・国産利用は、統一地方選挙の争点にもなっています。大いに運動を展開させてアグロエコロジーを前進させる一歩にしましょう。
山形・庄内農民連ニュースから、田川食健連のとりくみを紹介します。
田川食健連が署名提出
山形県の「国民の食糧と健康を守る運動田川地区連絡会」(田川食健連、大高全洋会長・山形大学名誉教授)は3月27日、「小・中学校の給食費の無償化を求める署名」を鶴岡市(人口約13万人)の皆川治市長に提出しました。
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4600人を超える署名を皆川市長(右から2人目)に提出する田川食健連の大高会長(同3人目)、小林事務局長(同4人目) |
各団体や保育所に運動が広がる
署名提出は鶴岡市役所庁議室で行われ、市当局から市長の他に布川敦教育長、本間明教育部長ら4人が出席。田川食健連側は6団体8人が出席し、庄内農民連から小林隆範会長(田川食健連事務局長)と梶昇司事務局長が参加しました。日本共産党の坂本昌栄市議が同席しました。
署名運動は1月末に呼びかけられ、約1カ月半で4632人分(インターネット署名も含む)が集まりました。
冒頭に署名用紙の手渡しを行った後、昭和12年生まれの大高会長が食健連の概要と自身が体験した戦時中の配給切符で食料や日用品を手に入れるしかなかった苦しみなどを紹介しながらあいさつしました。
次に食健連の小林事務局長が「これまで学校給食の無償化や地場産品利用促進などを求めてきた。昨年11月から期間限定で給食無償化が実現し、『非常に助かった』との声が多く、継続してほしいとの声が多かったので、各団体や学童(保育所)などに呼びかけ、実質1カ月半で4600人分を超える署名が集まった」と運動の趣旨と経過を説明しました。
学校給食は地方が声を上げ国を変えてきた
市長 署名を踏まえ無償化継続を検討したい
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市当局との意見交換で要請の趣旨と運動の経過を説明する田川食健連の小林事務局長(左から2人目) |
鶴岡は学校給食発祥の地
これに対し、皆川市長は「学校給食は地方が声を上げて国を変えてきた。鶴岡は学校給食発祥の地であり、リードしてきた地域だ。平成30年に『第3子以降無償化』を実施したが、他の自治体で完全無償化を実施しているところもあり、鶴岡は遅れていると思う。政府与党も子育て支援の強化を打ち出し、教育委員会でも子育て施策として重要だとの意見も高まっており、署名が出されたことも踏まえ(無償化の)検討をしたい」と答えました。
統一地方選挙の争点に
保護者の意見を真しに受け止め
その後の意見交換ではいろいろな意見が出されました。
新日本婦人の会の代表は重度の小麦アレルギーを持つ小学生の母親の手記を紹介しました。
「給食センターでは重度アレルギーに対応した給食を提供できないとのことで、牛乳のみの提供をお願いしたが断られた。お弁当と牛乳を毎日学校に届けている。給食費無償化になってから学校長を通じて再度牛乳だけでも提供してもらえないかと問い合わせたが、そのような対応はできないとのことだった。給食費が無償化されても、お弁当を持参している家庭の経済的負担は軽減されない」との訴えに、市当局の出席者は手記をプリントアウトした上に線を引きながら、話を真剣に聞いていました。
また第3子以降無償化』というが、3人のうち第1子が高校生になると対象外になってしまう。不公平な制度だ」と厳しい意見も出されました。
市当局は要請を真しに受け止めている様子でした。実現させるために今後も運動を広げます。
(新聞「農民」2023.4.17付)
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