フードテック
(代替肉・昆虫食・培養肉)
とは?
第25回大豆畑トラスト運動交流会
輸入の遺伝子組み換え大豆を拒否し、生産者と消費者が国産の安全な大豆の生産を高めようという「第25回大豆畑トラスト運動全国交流会」が3月16日、東京都内(オンライン併用)で開かれました。主催は、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン。
遺伝子組み換え・ゲノム編集でない
国産の大豆を
投資ファンドや財団が暗躍する
キャンペーンの纐纈(こうけつ)美千世さんが「25回目を迎えたトラスト運動。大豆の自給率も少し上がったという運動の成果とともに、ゲノム編集技術、フードテックなどが登場するなかで食べものが脅かされている危機感を共有しましょう」と開会あいさつ。
第1部は対談「フードテックってなあに?」のテーマで、「食政策センター・ビジョン21」主宰の安田節子さんとキャンペーンの天笠啓祐代表との対談が行われました。
フードテックとは、代替肉、昆虫食、培養肉に代表されるもので、それが農水省の「みどりの食料システム戦略」に盛り込まれていることを説明。
両氏は、フードテックがバイオテクノロジーを駆使した工業的な食べものであり、背後に投資ファンドやビル・ゲイツ財団などが控え、企業による食料の知的財産への独占・支配がねらいであることを告発しました。
生産者と消費者が手を取り合って
企業の農業参入に対抗して生産
第2部は、生産地からの報告。キャンペーンの小野南海子さんが「フードテックの大豆ミートはほとんど輸入大豆が原料。私たちの日常の食卓に根付いている豆腐や納豆、みそなどの食文化を守るためにも大豆畑トラスト運動に取り組んでいきましょう」とあいさつ。
山形・新庄大豆畑トラスト「ネットワーク農縁」の今田多一さんは、企業による農業参入に危機感を表明。高橋一広さん、綾さん夫婦も、「バイテクなど企業の動きにあらがいながら、同じ思いの消費者とともに前を向いて農業に取り組んでいきたい」と表明しました。
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報告する高橋一広さん、綾さん夫婦(左) |
岐阜・流域自給をつくる大豆畑トラストの西尾勝治さんは、「遺伝子組み換え大豆を食べたくないという消費者の熱意で始めたが、有機農業に取り組む若い生産者に引き継ぎながら、さらにがんばっていきたい」と述べました。
東京・目黒消費者グループ大豆トラストの田口美千代さんは、「区内の消費生活センターを会場にみそづくりを行っているが、今回は30人の募集に対して300人の応募があった。ネオニコチノイド系農薬を使っていた生産者を説得して、ネオニコ系農薬散布をやめてもらった」という経験を語りました。
食の関心高まり育種技術も継承
福岡・みのう農民組合の佐々木督文さんは、天候の変化にあわせて大豆の品種を変えたこととともに、ウクライナ危機などで食の問題への関心が高まっており、「会員をさらに増やしたい」と決意を述べました。
千葉・みやもと山「みそみそハウス」の斎藤超さん(匝瑳=そうさ=市)は、「昨年は天候がよく、大豆も多くとれたので仕込みみそを送り、各家庭で熟成させるという取り組みもできた。米の加工も行い、農福連携にも挑戦したい」と語りました。
秀明自然農法ネットワークの佃文夫さん(茨城県取手市)は、自家採種の重要性を強調。固定種の育種技術を継承し、採取農家の減少に歯止めをかける必要性を述べ、「農家が気軽に自然農法に取り組み、多くの人にその農産物を食べてほしい」と期待を込めました。
無農薬栽培広げ自給体制確立を
福井・マルカワ味噌の河崎宏さんは2010年から大豆畑トラストに参加し、「お客様の命を削るようなことはしたくない」と無農薬・無化学肥料で大豆栽培を行っており、「ものの受け渡しだけでなく交流も進めたい」と述べました。
宮城県山元町大豆畑トラストの坂東祐佳さんと林真理子さんは、枝豆・サツマイモの収穫、みそづくりなど年2回の交流を行い、生産者を支えながら運動していくことと、こうした活動を続けていくためにも憲法と平和を守る取り組みをしていきたいと話しました。
茨城・市民の大豆食品勉強会の平野清子さんは、黒マルチと防虫ネットを使った栽培法で大豆をつくり、収量は下がったが、これでみそ、豆腐、テンペづくりに取り組んだ経験を報告。「飼料高騰で知り合いの畜産農家がやめていくのが残念」と語り、国内で自給できる体制が必要だと述べました。
最後に天笠さんが「日本の農業をどうするかという視点でこれからも取り組んでいきたい」と閉会あいさつをしました。
(新聞「農民」2023.4.10付)
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