「農民」記事データベース20230403-1547-11

旬の味


 酪農危機が叫ばれるようになって数カ月。現在約85%もの酪農家が赤字経営に陥っているという。先日ようやく私も確定申告を終わらせ、1年間の収支をまとめたが、わが家でも大赤字の令和4年となった▼収入の面では、子牛市場価格が夏から暴落したことにより、見込みの半分しか収入がなかった。加えて肥料価格は高騰し、前年よりも2割ほど価格が上昇。その他餌、資材も軒並み上がり、年末には支払いのため、留保していた貯金も前年比の半分以下までなくなった▼しかし運転資金のための借金をしてまで営農したいとは思えない。廃業という言葉が度々頭をよぎる。乳代では賄えなかったコストを高値で推移していた子牛価格で補っていた日本の酪農は完全に崩壊し、日本に酪農がなくなる未来が現実を帯びてきた▼これまで輸入餌を与える前提の農政を進めてきた国の責任は重大である。今こそ農家が生活するための所得補償。そして持続可能な自国生産前提の農業に改めなければ日本に食の未来はない。

(K)

(新聞「農民」2023.4.3付)
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2023年4月

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