「農民」記事データベース20230403-1547-07

遺伝子組み換えの表示が消える?

4月から新制度に移行
表示される加工品が激減

 小売店、スーパーなどの食品棚に並んでいる大豆、トウモロコシなどの加工食品から「遺伝子組み換えでない」の表示が消えつつあります。


大豆 トウモロコシ
事実上、不可能な混入0%でないと
非GM表示できないことに

 従来非GMは5%以下

 いま、遺伝子組み換え表示義務のある農作物は、大豆、トウモロコシ、馬鈴薯(ばれいしょ=ジャガイモ)、ナタネ、綿実、アルファルファ、てん菜、パパイアとその加工品です。

 今までの表示は遺伝子組み換え原料の混入が5%超で重量割合が上位3位以内、DNAやたん白質が検出可能なものに限られていました。従って、食用油やしょうゆなどの多くの食品は表示対象外でした。こうした遺伝子組み換え表示制度の欠陥により食品の遺伝子組み換え表示が不十分ななかでも、「遺伝子組み換えでない」表示は、消費者が遺伝子組み換え食品を避けるための情報として役立っていました。

 ところが、消費者庁が設置した「遺伝子組換え表示制度に関する検討会」は2018年、大豆とトウモロコシについて、任意表示である「遺伝子組み換えでない」表示が認められる条件を「5%以下」から「不検出」(0%=検出限界以下)のときだけとし、今年4月から施行となります。5%以下であっても遺伝子組み換えの混入の可能性があるのに、「遺伝子組み換えでない」という表示をするのは消費者の誤解を招くというのが表向きの理由です。

 これは、EU(欧州連合)並みの0・9%以下への引き下げという消費者の要求を逆手にとり、事実上不可能な「0%」を基準にすることによって、遺伝子組み換え表示制度そのものをなくしてしまうところに本質と狙いがあるといわなければなりません。

 食品選択の目安「非GM」表示

 これまで消費者は、義務表示の範囲が限定されているなかでも、みそ・とうふ・納豆やコーンスナック菓子などを買う際に「遺伝子組み換えでない」や「遺伝子組み換え不分別」という表示を目安にしてきました。

 しかし、混入率0%とした場合、「遺伝子組み換えでない」と表示される食品は激減するおそれがあり、現に表示が消えつつあります。

 中には「分別生産流通管理済み」「IPハンドリング済み」などという「遺伝子組み換え」の文字さえもない表示もあります。「遺伝子組み換えでないものを分別」等の表示もありますが、分別という言葉は消費者になじみがなく、わかりにくい表示です。やはり「遺伝子組み換えでない」の表示がわかりやすいのではないでしょうか。

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1 消えつつある「遺伝子組み換えでない」表示

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2 分別生産流通管理済み

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3「遺伝子組み換え」の文字がない

 GM避けるため自給率の向上を

 「国産大豆使用なら、『遺伝子組み換えでない』と表示できるのでは」と思われるかもしれません。ある豆腐屋さんでは国産大豆しか使っていないにしても、流通業者が国産大豆しか扱っていないところはほとんどありません。

 実際に日本には、大量の遺伝子組み換え作物が輸入されており(表)、どんなに分別しても微量の混入が起きる可能性があります。

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 農民連食品分析センターが行った豆腐などの大豆製品の遺伝子組み換え分析では、26製品中11製品は「不検出」でしたが、15製品からは検出されました。検出された混入率は0・17%〜0・01%で、これまでの制度(5%以下)では「遺伝子組み換えでない」と表示できましたが、今後は表示できなくなります。

 さらに「不検出」の11製品もメーカー側が微量な混入を恐れ、表示しなくなる可能性もあります。

 新制度移行後も、私たちは、(1)「分別生産流通管理済み」等のわかりにくい表示を早急に見直す、(2)遺伝子組み換え表示の基準量を0・9%以下にする、(3)食用油やしょうゆなどの遺伝子組み換え表示を義務付ける――ことを求めます。

 さらに、何よりも大豆やトウモロコシの自給率をもっと上げることが、遺伝子組み換え食品を避ける最大の方法です。

(新聞「農民」2023.4.3付)
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2023年4月

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