署名15万6511人分
3カ月足らずで集める
納税者の権利擁護求める緊急署名
農民連など8団体が国会提出
自主申告運動への介入許さぬたたかいを
全国商工団体連合会(全商連)や農民連など8団体は3月17日、「自主申告運動の擁護・発展をめざす国会行動」を開催し、1月末に緊急で提起した「納税者の権利擁護を求める緊急請願署名」7万8119人分を提出しました。24日にも追加提出し、計15万6511人分となりました。
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署名を日本共産党の田村貴昭衆院議員(右から3人目)に手渡す農民連の湯川喜朗常任委員(同2人目) |
今国会で審議されている税理士法の一部改定案では、税理士以外が税務相談を行うことについて財務大臣が停止命令を出し、違反者には懲役や罰金、更に名前を官報やインターネット上で公表することなどが狙われています。
この法案は刑罰が課されるにもかかわらず、規制の対象や停止命令を出す基準・要件が明確でなく、中止命令に対しての異議申し立てや、誤って処罰された場合の信頼回復などもあいまいになっています。
全商連の橋沢政實副会長は開会あいさつで「54年前から民商で自主申告に取り組んでいる。税務相談停止命令が憲法で許されるのであれば、日本は戦時国家だ。戦時中の治安立法を想起させる。今必要なのは物価高騰に苦しむ国民に手を差し伸べる施策ではないか」と述べ、戦争できる国づくりを許さず、命令制度やインボイスの中止、消費税減税に向け、たたかうことを呼びかけました。
この間の国会審議で納税者同士の自発的な学び合いを阻害するものではないこと、命令処分には脱税・不正還付の具体的な事実関係に基づいて判断する制約が課されること、命令処分が行政手続法の対象となり、処分の前に弁明の機会を与えられることなどが明らかになりました。
一方で国は「税理士法では課税標準(所得)や税額の計算の相談は税理士のみができる」と主張しており、国税庁・税務署の対応によっては倉敷民商弾圧事件のようなことが繰り返される恐れもあります。
各団体からの報告では、千葉県生活と健康を守る会が「支援制度を受けたいと生活相談するときは、所得から判断することがどうしても必要。こんな規制はおかしい」と指摘。
東京・渋谷民商の参加者は「100人以上の申告の相談に乗っている。パソコンが使えない、働き方が複雑、給与が分かりにくいなどそれぞれ事情がある。税務署からは感謝もされている。相談に乗るなというなら、だれがやってくれるのか」と現場の実態を見ない制度を批判しました。
今回の行動では参議院の財務金融委員に「納税者の学び合いへの過度な規制とならないよう配慮」「納税者の信用・尊厳に配慮した慎重な対応」を求める付帯決議をあげるよう要請も行いました。
今後も8団体で共同して、引き続き納税者の権利章典制定や税理士法の改正など納税者の権利擁護と、自主申告運動への介入を許さず発展させるための運動を議論することを確認しました。
(新聞「農民」2023.4.3付)
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