酪農家の努力だけでは限界
JA北海道 酪農危機緊急集会2000人
政府は経営維持に万全の対策を
JA北海道グループは3月18日、「北海道酪農・畜産危機突破緊急集会」を札幌市内で開催し、全道からオンラインを含めて2000人が参加しました。北海道農民連も後援しました。
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シュプレヒコールとともにこぶしを上げる参加者たち |
主催者あいさつで北海道農業協同組合中央会の小野寺俊幸会長は、「酪農家が大変な状況に追い込まれている。飼料、肥料など生産資材の高騰で大打撃を受けており、この窮状を訴えていくために結集をいただいた(『遅いんだよ』とのヤジ)。生産者の思いは冬の苦しさを乗り越え春を呼び込むことだ」と述べました。
土屋俊亮・道副知事の激励あいさつに続いて、ホクレン農業協同組合連合会の篠原末治会長が情勢報告。
事実上、北海道の酪農家だけに生産抑制が課されていることに抗議するとともに、バター、脱脂粉乳などの在庫対策で北海道の酪農家はこの2年間で150億円もの拠出金を出し、2023年度はさらに生乳1キロ3・5円、総額125億円もの身銭を切ることになると報告。「このままでは乗り切れない。コストの価格転嫁や配合飼料価格安定制度の見直しなど、酪農家の努力ではできない対策を国が行うべきだ」と強調しました。
意見表明で、JA上士幌の小椋茂敏組合長は、「多くの酪農家がセーフティーネット資金を借りて年越ししたが、4戸が酪農を中止した。酪農家が減少すると地域がもたない。食料を輸入する時代は終わった。一時的な対策ではなく、恒常的な対策が必要だ」と発言。
JA標茶(しべちゃ)代表監事の千葉澄子さんは、「3000トンの生乳を生産して、3000万円の赤字。釧根地区では約30戸が離農する。水よりも安い乳価では希望が持てない」と訴えました。
政党からは、自民党の伊東良孝衆院議員などが出席したほか、立憲民主党の石川香織衆院議員が「1頭10万円の支援が必要だ。与野党が連携をとって対応すべき」と発言。日本共産党の紙智子参院議員から「現在の対策では足りない。条件を付けずに飼料の補てんを行うべきだ。酪農家が深刻な状況にある中で、大手乳業メーカーは内部留保を拡大している。これを酪農家のために出させなければならない」などのあいさつが続きました。
最後に、「生産現場の経営努力だけでは限界であり、政府等において経営維持に向けた万全の対策を措置するよう強く求める」との集会決議を行いました。
(北海道農民連 野呂光夫)
(新聞「農民」2023.4.3付)
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