「農民」記事データベース20230403-1547-01

家族農業を大切にする農政へ

FFPJ
(家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン)


「国内行動計画への提言」発表

院内集会 政府に転換を求める

 家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン(FFPJ)は3月17日、国会議員会館内で集会(オンライン併用)を開き、「食料・農業・農村基本法(以下、基本法)の改正に際して盛り込むべき視点」と「家族農林漁業を強化する国内行動計画への提言」を発表しました。その中で、持続可能な社会に向けて小規模・家族農業を大切にする政治への転換を、政府に求めました。

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提言を報告する池上常務理事(左から2人目、左端は村上代表)

 拙速な議論避け国民合意のもとでの見直しを

 基本法(1999年制定)は、日本の農政の基本理念や政策の方向性を示したもの。岸田首相は昨年9月、基本法見直しを指示し「国民の合意形成を重視する」としていますが、国民不在の議論が進められてきました。

 報告の中で池上甲一FFPJ常務理事(近畿大学名誉教授)は「どういう理念を持って、基本法の見直しをしていくのかが全く見えてこない」と指摘。現行の基本法が作られる際、起草委員会メンバーの反省の弁を紹介し「哲学や理念を抜きにした場当たり的な対応とは決別しないといけない」と強調。「今のままでは国民の合意は得られないし、拙速な議論は避けるべきだ」とした上で、多様な小規模・家族農林漁業を政策対象に明確に位置付けること、アグロエコロジーの視点を導入することなど、見直しに際しての10の提案をしました。

 家族農業の強化 国内行動計画の原案を提示

 今年は国連「家族農業の10年」(2019年〜28年)の5年目です。国連は各国政府に対して、小規模・家族農業を重視する国内行動計画の策定を呼びかけており、現在28の国が行動計画の策定に向けて動いています。FFPJは国連「家族農業の10年」事務局に認定・登録された、日本の家族農業支援組織です。その立場から、家族農林漁業を中心とした農山漁村での担い手づくり、将来に向けての仕組みづくりの具体案を示し、日本政府に対し、一緒に協議し国内行動計画を策定しようと呼びかけました。

 村上真平FFPJ代表は、近代化の流れの中で「労働生産性」が高いほど良いと、農林漁業も大規模化が推進されたと指摘。「しかし地球環境や貧困・格差拡大の問題などで、持続可能な発展が語られるようになった。そして『土地の生産性』という考えから、小規模・家族農業は非常に生産性が高いことが具体的なリサーチによって明らかになってきた」と説明しました。

 FFPJは集会に先立ち、農水省を訪問し提言を渡すとともに、国連食糧農業機関(FAO)など、食と農に関わる国連機関の駐日連絡事務所にも提言を渡し、農政転換に向けて協力を呼びかけました。

 集会には無所属の寺田静、日本共産党の紙智子、社民党の福島みずほ、立憲民主党の川田龍平の各参院議員が参加しました。

 ※国連の「家族農業」の定義には、農業だけでなく、林業、漁業、牧畜、狩猟・採集、先住民などが含まれる。

(新聞「農民」2023.4.3付)
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2023年4月

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