「農民」記事データベース20230327-1546-08

第17回GMOフリーゾーン運動全国交流集会

遺伝子組み換えもゲノム編集も
ない世界をつくろう!

 「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」は2月25日、遺伝子組み換え(GM)・ゲノム編集食品・生物を拒否する第17回GMOフリーゾーン運動全国交流集会をオンラインと会場(都内)併用で開きました。今回のテーマは、「遺伝子組み換えもゲノム編集もない世界をつくろう〜大消費地・東京から」です。


大消費地・東京で生産者と
消費者がともに考える

 GM衰退の反面
 ゲノム開発進む

 開会あいさつを久保田裕子実行委員長(日本有機農業研究会)が行い、「大消費地・東京の消費者が生産者と一緒になって声をあげ、フリーゾーン運動が広がっていくことを期待します」と述べました。

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あいさつする久保田実行委員長

 遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンの天笠啓祐代表は「遺伝子組み換え・ゲノム編集の現状」のテーマで基調報告。「GM作物全体は、衰退に向かっているが、その背景には、米国でのグリホサート(除草剤の成分)による健康被害を取り上げた訴訟も大きく影響している。10万件を超える訴訟で、被害者側が相次いで勝訴し、加害者モンサント社(現在はバイエル社)は敗訴しており、GM作物への影響が出始めたといえる」と指摘。「GM作物や動物が壁にぶつかりつつある中で、急速に開発が進んでいるのがゲノム編集作物や魚・家畜だ。フリーゾーン運動をさらに広げ、ゲノム編集トマトやゲノム編集魚を拒否しよう」と呼びかけました。

 環境配慮型農業宣言で情報発信

 パネルディスカッション「遺伝子組み換え・ゲノム編集もない世界をつくろう」では、5人のパネリストが壇上に並びました。

 神奈川県藤沢市で有機農業を営む相原成行さん(日本有機農業研究会)は、有機農業を実践していた両親の影響と消費者運動が背景にあり、有機農業に取り組むようになった経緯を報告。生産者と消費者とで農業と農地を守る「生き方」としてフリーンゾーン運動にも取り組み、さらに仲間を広げる決意を述べました。

 栃木県真岡市の國母克行さん(栃木農民連会長)は、家族で営み、顔の見える消費者との協力で進めるアグロエコロジー(環境配慮型農業)に取り組んでいます。一部の小・中学校でバイオテクノロジーを賛美する教育が行われている現状に憂慮を表明し、「消費者に正しい知識を伝えるためにもフリーゾーン運動の意義は大きい」と強調しました。

 福島県喜多方市の渡部よしのさん(会津農民連女性部代表)は、自分がまいた農薬でカエルが死んだ経験から田んぼ周りの命とともに生きる有機農業に取り組むようになった経験を紹介。ゲノム編集開発が進み、遺伝子組み換え表示がなくなるなか、「情報を発信しなければならない」とフリーゾーン宣言を行い、数世代先にバトンをつなぐ決意を語りました。

 茨城県取手市の佃文夫さん(秀明自然農法ネットワーク)は、国内の種の自給率が10%程で採種農家が減り、固定種の育種技術も失われてしまうことに危機感をもっています。3年前から、自然農法による固定種の育種に取り組み、採種体制をさらに強化し、法人化と人材育成に力を入れることを訴えました。

 東京都武蔵村山市の加藤武さん(生活クラブ生協)は地域の生産者とグループをつくり、看板を立ててフリーゾーン宣言を行っています。給食に出荷する小松菜の収穫など小学生の農業体験も担い、「子どもたちの未来を考えて、種子の自家採種などに取り組んでいきたい」と述べました。

 ゲノムトマトの拒否要請を交流

 福祉施設や小学校に無償配布されようとしているゲノム編集トマト苗の受け取り拒否の取り組みでは、全体報告をOKシードプロジェクトの原野好正さんが行い、受け取り拒否の要望書を提出する運動が、全国に広がっていることを強調。2月21日現在で、1098の自治体に提出され、646の回答があり、243自治体が「受け取らない」と回答し、「受け取る」はゼロであることを紹介しました。

 あいコープみやぎ、なのはな生協、生活クラブ連合会、生活協同組合連合会アイチョイス、コープ自然派、グリーンコープから自治体への要請・アンケートの取り組みへの報告がありました。

GMOフリーゾーン宣言
前年から883ヘクタール広がる

 GMOフリーゾーンの全体報告を遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンの原英二さんが行い、農地で10万6919・0ヘクタール、前年比で883・2ヘクタール広がったことを紹介しました。

 魚の開発進む中
 海の宣言広げる

 海のGMOフリーゾーンとして全国沿岸漁民連絡協議会の栗原春樹さんは、ゲノム編集の肉厚マダイについて、強い筋肉に耐えられなかった背骨の変形、体長の寸詰まりなどの無理な体形でおいしく食べられるのか疑問であること、養殖が環境へ及ぼす悪影響、商売として成り立たない懸念などをあげました。

 21世紀の水産を考える会の石井久夫代表理事は、魚類の分野でゲノム編集技術が進む理由として、流通が「大量生産・大量消費型」になり、それに合わせて魚介類の生産と供給体制が変化していると指摘しました。

 海外から、韓国、台湾、欧州のフリーゾーンの紹介がありました。

 日本の種子を守る会の杉山敦子さんが「私たちは、大消費地である東京から、国内はもとより世界の人々とともに、遺伝子組み換え・ゲノム編集作物・魚を拒否し、GMOフリーゾーンの輪を広げることで、地域の農と食文化を守り、食の安全と生態系を守ります」とする大会宣言を読み上げました。

 次回開催の熊本県にバトンの受け渡しが行われ、閉会しました。

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新しいロゴとともに次回開催の熊本に引き継ぎが行われました

(新聞「農民」2023.3.27付)
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2023年3月

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