国と東電に原発事故の責任を問う
いわき市民訴訟仙台高裁が判決
東電の賠償額増加するも、
国の賠償責任を認めない不当判決
国民運動盛り上げ、最高裁で勝利必ず
福島県のいわき市民1500人以上が、国と東京電力(東電)を被告として福島第一原発事故の法的責任を追及するためにたたかっている「ノーモア・フクシマいわき市民訴訟(いわき市民訴訟)」の控訴審判決が3月10日に仙台高等裁判所で言い渡されました。
昨年6月に、最高裁判所で国の法的責任を認めない判決が出て以降、初の高裁判決となります。
仙台高裁第2民事部の小林久起裁判長は、東電の責任を認め1審判決より賠償を増額したものの、国の責任を認めた地裁判決を破棄し、国を免責する不当判決を出しました。
|
判決後の仙台高裁前 |
判決では事故の予見可能性と回避可能性を認め、「経済産業大臣が東電に津波対策を命じなかった不作為は、極めて重大な義務違反であることは明らか」と繰り返し批判しています。
しかし国の賠償責任については「規制権限を行使して対策をとらせていたとしても、絶対に事故が防げたとは言えない」と論調を一転させて賠償を認めませんでした。
ふるさと損傷の被害も認めず
東電に対しては、「敷地を超える津波の試算を得ても安全対策を先送りし、事故の4日前まで原子力保安院に試算結果の報告すらしなかった」と指摘。「重大事故の可能性を予見しながら経営上の判断を優先させ、周辺住民の生命身体の安全や生活の基盤となる環境をないがしろにした」と断罪し、賠償を増額しました。しかし2011年末(妊婦・子どもは22年8月末)までしか被害を認めず、ふるさとの損傷も認めないなど、不十分なものです。
原発推進政策に合わせた判決
弁護団の鈴木尭博弁護士は「原発推進政策に合わせた結論ありきの判決だ」と批判。世論を作るために100万人規模の署名や地方議会からの意見書採択などの大きなたたかいが必要だと訴えました。
6月の最高裁判決をたたかった「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟(生業訴訟)原告団の服部崇事務局次長(福島県北農民連事務局長)は「絶対許すことのできない判決。これを覆すため全国とつながってたたかっていきたい」と話しました。
原告団と弁護団は声明で、二度と原発事故を起こさないために最高裁で国の責任を認めさせる決意を表明。広範な人たちと手を携えてたたかうことを呼びかけました。
(新聞「農民」2023.3.27付)
|