大手乳業メーカーは
生産者乳価を引き上げよ
生産者は圧倒的に立場弱い
国はイニシアチブ発揮を
酪農家は廃業の危機でも
大手乳業はもうけを蓄え
日本共産党 紙智子参院議員が国会質問で明らかに
いま、生産者の代表(指定生乳生産者団体)と乳業メーカーとで、今年6月(または7月)以降の乳価を決める乳価交渉が行われており、酪農危機打開の焦点になっています。
そんなさなか、日本共産党の紙智子参院議員の国会質問で、生産者が雪崩を打って離農しているこの状況下でも、大手乳業メーカーは順調に内部留保を増やしていることが明らかになりました。
紙議員は3月9日の参議院農水委員会の質疑で、牛乳・乳製品市場シェアの過半を占める大手乳業メーカー3社(明治ホールディングス、森永乳業、雪印メグミルク)の有価証券報告書から調査・作成した図を示して、飼料高騰が始まった2019年から酪農危機が深刻化した22年の3年間でも、各社が内部留保を1・3倍に増やしていることを指摘。「これだけ生産者が赤字続きで廃業かというときに、再生産を保障する生産者乳価に引き上げるよう、国はイニシアチブを発揮すべき」と迫りました。
“生産者はムシロ旗たてて
メーカーと交渉しなさい”
――野村農水大臣が無責任答弁
ところが、野村農水大臣は、「初めてこの内部留保の状況を見て、こんなに潤っているのかとびっくりした。酪農家は国に何とかしろと言うだけでなく、ムシロ旗を立てて自らメーカーと交渉するぐらいでなければ」と、けしかける一方で、国の責任については「民間取引の交渉に国が口出しするのはいかがなものか。(国が責任をもって)“やります”とは言えない」と答弁。
牛乳は、毎日生産される一方、非常にいたみやすく、すぐに乳業メーカーに引き取ってもらわなければならないため、売り手である酪農家の立場が弱くなります。しかも買い手の乳業メーカーは上位3社で市場の過半を占める巨大企業です。いま行われている指定団体と乳業メーカーとの乳価交渉でも、両者の交渉力には雲泥の差があるのが実態です。
しかし野村大臣の答弁は、この実態を無視し、欧米で行われている国のバックアップさえ拒否するもので、国として日本の酪農業をどう守るかなど、まったく考えない責任放棄答弁です。
飼料代補てんも桁違いに不十分
一方で酪農家は、高騰を続ける飼料代の支払いにあえいでいます。日本共産党の田村貴昭衆院議員の調査では、現在と高騰前の飼料価格の差額から、この間の飼料代の値上がり分の総額は4000〜4300億円にのぼると試算。
田村議員は3月8日の衆議院農水委員会で、「国からは総額でも1500億円足らずしか補てんがなく、実質的に3000億円近くが、畜産農家が負担したままになっている。これでは廃業を回避できない。国はこれくらいの予算規模で対策を」と要求しました。
野村大臣は「生乳価格を上げていくことが対策になる」と答えるだけで、飼料対策も乳価対策もまともな手を打とうとしていないのが実態です。
(新聞「農民」2023.3.27付)
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