第10回
なんてったって!伝統食
継いでいきたい日本の食の会
栗原澄子
春らしい料理を楽しむ
寒い冬から抜け出して、少しずつ暖かさを感じる3月。新入生、新社会人を迎える4月。ちょっとだけお祝いの気持ちを表す料理を作りたい気分になります。
手軽な材料で作る五目ちらしずし。汁物はいちご汁(江戸料理)。江戸時代の料理名は「おやっ」と思うものがあり、楽しいです。この「いちご汁」の名前は、でき上がりがエビの赤と小松菜の緑で、果物のいちごに見立てた料理だからです。
もう一品は、私が普及させたい芋がら(干しずいき)の煮もの。八つ頭の茎の皮をむいて、干したものですが、だし汁をしっかり使えばおいしい煮物になります。茎が欲しくて自分で八つ頭を植えています。独特の歯ごたえもあり、おいしいのですが、知らない人も多く、受け継いでいきたい食材です。
「継いでいきたい日本の食」は、作り手を増やさないとつながりません。台所に子どもと孫と一緒に立って料理する光景が増えることを願っています。
五目ちらしずし
材料(4人分)
(すし飯)
米 2カップ
水 2カップ
酒 大さじ1
昆布 5グラム
(合わせ酢)
米酢 大さじ3
塩 小さじ1
砂糖 大さじ2
(具)
油揚げ 1枚
干し椎茸 3枚
干し椎茸の戻し汁 250cc
A しょう油 20cc
砂糖 大さじ2
みりん 大さじ1
にんじん 60グラム
さやえんどう 30グラム
焼きのり 1/2枚分
紅しょうが 20グラム
白ごま 大さじ2
ちりめんじゃこ 大さじ2
(薄焼き卵)
卵 2個
砂糖 大さじ1/2
塩 1グラム
作り方
(1)合わせ酢を作る。
(2)干し椎茸は水で戻しせん切り。油揚げは熱湯をかけて油抜きし、たんざく切り。さやえんどうはスジを取って熱湯でゆで、せん切り。にんじんは太めのせん切り。
(3)干し椎茸の戻し汁250ccに油揚げ、干し椎茸、にんじん、Aを入れて汁が無くなるまで煮切る。
(4)錦糸卵を作る。卵を溶き、塩、砂糖を入れて混ぜ、薄く焼き、せん切りにする。
(5)ご飯は固めに炊き、飯台に熱いご飯を入れ、合わせ酢をかけ、木じゃくしを立てて切るように混ぜる。
(6)さやえんどう以外の煮た具とごま、ちりめんじゃこを混ぜる。皿に盛り、さやえんどうのせん切り、錦糸卵、のりと紅しょうがを彩りよく盛りつける。
いちご汁(江戸料理)
材料(4人分)
エビ 160グラム
小松菜 100グラム
片栗粉 小さじ1
(すまし汁)
だし汁 600ミリリットル
しょう油 大さじ1
塩 小さじ1/3
作り方
(1)エビは背ワタを取って殻をむき、包丁でたたいてみじん切りにする。小松菜はゆでて水に取り、絞る。
(2)エビに塩少々と片栗粉を入れて混ぜる。
(3)湯に塩少々(分量外)を加え、エビをスプーンでいちごの実のようにまとめてゆで、椀(わん)に2個ずつ入れる。
(4)小松菜をいちごのへたのように配慮して、澄まし汁を注ぐ。
芋がら(ずいき)の煮物
材料(4人分)
芋がら 20グラム
※芋がらは里芋よりも赤い茎の八つ頭のほうがアクがなくておいしいです。
つきこんにゃく 1/2袋
油あげ 1枚
だし汁 1カップ
(調味料)
さとう 大さじ2
みりん 大さじ2
しょうゆ 大さじ2弱
作り方
(1)芋がらは水につけておき、あくをとる。つきこんにゃくはゆでておく。油あげは短冊切りにしておく。
(2)芋がらを熱湯の中で2〜3分ゆでて水にとり、3センチくらいに切る。
(3)鍋に油を大1ぐらい(分量外)入れ、芋がら、つきこんにゃく、油あげをいため、だし汁と調味料(少し控えめにして、最後に味を見て加えると良い)を入れて、汁がなくなるまで煮る。
(新聞「農民」2023.3.20付)
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