米・麦など種子の生産状況を
全都道府県にアンケート調査
たねと食とひと@フォーラム
種子生産条例制定が32道県に前進
「たねと食とひと@フォーラム」は2022年5月に実施した22年度都道府県の主要農作物等種子生産状況に関するアンケート調査の結果を発表しました。今年度も全自治体が回答しました。
調査項目は、気候変動に関する対応策、奨励品種のうち登録品種の許諾に関すること、種子法廃止5年後の課題、種子生産継続の理由などです。
奨励品種決定のための原々種・原種の生産、種子の審査等については、21年度と比べ、大きな変化は見られませんでした。「種子生産ほ場の指定」を「実施しない」は1自治体、「種子の審査」を「実施しない」は1自治体増えました。
ほ場の指定を「実施しない」のは栃木県、東京都、愛知県、奈良県、佐賀県。種子の審査を「実施しない」は栃木県、東京都、奈良県でした。
ゲノム編集品種の種子生産の可能性について、「可能性がある」と回答した自治体はありませんでした。
種子生産に関する条例について、22年5月の時点で条例未制定は15都府県で、昨年度より3県減少しました。福島県、山梨県、沖縄県で新たに制定されました。未制定は青森県、東京都、神奈川、静岡県、京都府、大阪府、奈良県、和歌山県、岡山県、山口県、香川県、高知県、佐賀県、長崎県、大分県です。
国または民間企業との共同開発について、「国の研究機関との共同開発」を行っているのは13県、「民間企業との共同開発」を行っているのは5県でした。
登録品種の許諾申請
「必要」26道府県、55%
奨励品種の許諾について、登録品種の許諾申請が「必要」「一部必要」としているのは合計で26道府県、55%となっています。許諾料を設定しているのは21府県です。申請は必要だが許諾料は無料、県内生産者は無料など各自治体により設定が異なります。
自由記述の項目では、気候変動に関する農業への対応策について、39道府県が具体的に回答し、そのうち27府県が「高温耐性」など高温対策に取り組んでいます。
種子の安定供給 品質確保が課題
種子法が廃止されて、5年目を迎え、見えてきた課題について、25府県(53%)が「特に問題はない」と回答。特徴的な回答は「都道府県間連携が重要である」(埼玉県)、「他県との種子生産受委託推進は、県内種子価格との差や品質で問題が生じた場合、事故が起きた場合の対応など課題が山積している」(鳥取県)、「本県における取り組みは国の地方交付税を財源としているため、これがなくなると継続が困難。今後も国の財政措置は必須」(広島県)などです。
主要農作物等の種子生産を継続される理由について、44道府県の回答は、いずれも「安定供給」「品質確保」「農業振興」「県の責務」に関する記述でした。
調査の詳細は、「たねと食とひと@フォーラム」のホームページを参照してください。
(新聞「農民」2023.3.20付)
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