「農民」記事データベース20230313-1544-03

安倍改憲くい止めたのは
署名と対話の力

神戸女学院大学名誉教授 石川康宏さん

 昨年8月の農民連夏のオンライン学習会で基調講演を行った石川康宏・神戸女学院大学名誉教授から寄せられた署名の取り組みへの激励メッセージを紹介します。


 「大軍拡・大増税に反対する請願署名」が呼びかけられています。これに対して「また署名か」「これまでの署名は役に立ったのか」という声もあるようです。9条の会の結成からもう20年になりますから、疲れが出るのも当然です。

 しかし、平和や憲法を守れというこれまでの署名は、とても大きな役割を果たしてきました。そのことを誰よりも率直に語ったのは、他ならぬ安倍元首相でした。

 2020年8月の記者会見で、こういう質問が出されました。史上最長の政権でしたが、改憲はできませんでした。理由は何だったと思いますか? これに安倍さんは次のように答えました。「国民的な世論が十分盛り上がらなかった」「それなしには進めることができないのだろうということをあらためて痛感をしている」

 2012年から19年まで、改憲派は衆参両院で3分の2以上を占める「黄金の期間」を手にしていました。それにもかかわらず、改憲のごり押しはできませんでした。何度世論調査をしても、国民投票で9条改憲が否決されるという答えしか出てこなかったからです。

 この世論をつくったのが、他ならぬ署名の力、全国で粘り強く続けられた対話の力でした。いま改憲派は改憲への世論を盛り上げるために、台湾有事やウクライナ危機を利用して国民を煽(あお)っています。ですから疲れはあっても、ここで署名を止めるわけにはいかないのです。食料自給率引き上げの署名ともあわせて、もうひと踏ん張りがんばりましょう。

(新聞「農民」2023.3.13付)
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2023年3月

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