農家のための
税金コーナー
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混乱しやすい所得・収入基準の違い
申告をしていると、さまざまな収入・所得の判定が出てきます。「非課税年金を含むのか」「専従者控除を差し引く前か後か」など、場合によって異なる判定基準が適用されます。混乱しやすい収入、所得判定の基準をまとめました。
合計所得金額と総所得金額
所得税の扶養や住民税の均等割軽減の判定に使われる合計所得金額は、申告書第1表の(12)の金額に退職所得、山林所得、分離課税の譲渡所得(特別控除前)を加算した金額です。
総所得金額は合計所得金額に純損失や雑損失、その他各種損失の繰越控除を適用したものです。免税肉用牛の売り上げも含まれます。総所得金額は住民税の所得割の軽減判定や雑損控除、医療費控除、寄付金控除の計算時に使用します。
健康保険の判定基準等は?
また医療費の自己負担限度額(70歳未満)の所得区分と国保税の所得割金額は所得額(申告書(12))から基礎控除額43万円を引いた金額を用いて計算します。したがって所得には専従者控除や給与も含まれます。ただし退職所得と雑損失の繰越控除は除いて計算します。
国保税の軽減判定では、さらに専従者控除(給与)を除いて計算します。65歳以上の場合は、公的年金等の所得金額からさらに15万円を控除します。後期高齢者医療保険の軽減判定も同じです。
介護保険や健康保険の場合
介護保険料の所得段階やサービス料を算定する「合計所得金額」は収入から必要経費を除いたものです。専従者控除や分離課税の特別控除も適用されますが所得段階によって年金収入の扱いが異なります。1〜5段階の判定では公的年金等控除が適用されません。また給与所得がある場合は10万円が控除されます。6段階以上では公的年金等控除が適用され、年金または給与所得から10万円が控除されます。
介護サービスの利用料は年金を除く合計所得金額に非課税年金(所得税が非課税の障害年金等)を含めた年金収入を加えて判定します。
健康保険の扶養判定では、ほかのものと全く異なり収入で判定をします。非課税年金も年金収入の判定に加算されます。
(新聞「農民」2023.2.20付)
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