自主申告運動を今こそ広げよう農民連・全商連などが緊急集会
申告納税制度だけでなく、憲法13条の自己決定権をも踏みにじる改悪――。1月26日に農民連や全国商工団体連合会(全商連)などが呼び掛けて「自主申告運動の擁護・発展をめざす緊急集会」が開催されました。集会の中で昨年12月23日に閣議決定された政府の「2023年税制大綱」改悪の憲法違反のあくどさが明らかになりました。
基本的人権無視の税制大綱改悪税理士以外の税務相談を停止同改悪は「税理士以外が反復して税務相談を行うこと」に対し、財務大臣が停止命令を出すことができるようにすることや、停止命令を出した場合に氏名等をインターネット上で不特定多数が閲覧できるようにすること、違反した場合は懲役または罰金が科せられる、といった内容が含まれるほか、厳罰化の内容が多数含まれています。
運動発展怖れた権力の危機感「自主申告運動で納税者の権利の実践を進めることに課税権力が危機感を募らせた結果がこの改悪だ」と指摘したのは自由法曹団の鶴見祐策弁護士です。「自主申告の弾圧を狙った倉敷民商の事件でも裁判所は、『納税者が申告を学習し学びあって申告することは何ら制限されるものではない』と自主申告運動の正当性を認めざるを得なかった」と運動の正当性を訴えるとともに、「インターネット上でさらし者にするのは反社会組織による悪らつな常とう手段であり、尋常でない措置だ。そもそもこの大綱には『申告納税制度』の視点が意図的に排除されている」と批判します。
人権を守り抜き後に伝える義務「申告納税制度は憲法13条の自己決定権にも合致する。この改悪は13条とその実現のための権利である『集会、結社、表現の自由(憲法21条)』という基本的人権に反するものだ」と批判したのは、元立正大学教授で税理士の浦野広明さん。「この改悪は野党共同で提出した消費税減税法案のような政策を阻止し、消費税を財源にした『敵基地攻撃』に反対する人々に対する、財務機構を通じて行う治安政策だ」と指摘。「私たちはこの弾圧に対抗し、自らの努力で基本的人権を守り抜いて、後世に伝える義務がある」と呼びかけています。 また全商連の中山眞常任理事は税理士による申告支援を受けているのは申告書提出者の5%程度にすぎないことを紹介し、「税務相談のすべてを税理士が担うのは不可能であり、納税者同士の税務相談を停止させることは非現実的だ」と述べています。
呼びかけ団体の発言では、東京土建一般組合の山本高明さんが「会員は現場の仕事をしながら、合間に四苦八苦して申告書を書き、わからないところは仲間に相談しながら、間違えないよう作っている。資材高騰による倒産が増加しているなかで、税理士に委託する余裕などないし、税務署は相談などに乗ってくれない」と話し、「憲法がある限り、自主申告をもとにした民主的な税制を求める運動をひるまずに続けていく」と決意を述べました。 農民連の来住誠太郎税対部長も発言し「農民連は自主申告運動の弾圧は絶対許せない。軍事費調達のための大増税の地ならし、民主主義の弾圧を絶対に許すわけにはいかない。納税者の権利を擁護し悪法阻止の共同を広く呼びかけ、法案廃止に全力をあげる」と表明しました。
運動の力で廃案勝ち取ろう 緊急のたたかい
政府は2月に法案を提出し、3月中の成立をねらっています。時間の限られたたたかいですが、希望はあります。これまでも1962年の国税通則法の創設反対運動や抗税通則法に扇動罪を導入するなどの弾圧法の制定に対抗し、形がい化をさせてきました。 |
[2023年2月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
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