第25回定期大会
長谷川敏郎会長あいさつ
(大要)
戦争する国づくり許さないたたかいを
一堂に会しての全国大会は4年ぶりです。
今回、なぜリアル開催にこだわったのか。私たちは大会議案の最初で「こんなに農民が苦悩し、国民が生活に苦しみ、食べたくても食べられない人々が増えたことがあったでしょうか」と切り出しました。
岸田政権は戦後最悪の内閣です。これは自民党政治と国民・農民との矛盾がより激烈になっている表れです。岸田政権を一日も早く退陣に追い込み、まともな政治に転換する以外に危機を突破していく道はありません。そのためのたたかいの意思統一と団結が必要です。
まず、「戦争する国づくり」をやめさせるたたかいです。大会議案を発表して以降、岸田政権は12月16日に「安保3文書」を閣議決定し、戦後日本の安全保障政策の大転換をクーデター的に行おうとしています。反撃能力などと国民をだまして敵基地攻撃能力を保有するために5年間で43兆円という歯止めのない大軍拡予算を打ち出しました。しかし、そこには2つの大きなウソがあります。
一つ目は、「専守防衛に徹して、自衛力強化の範囲」というウソです。現在でも世界5位の軍事費の日本がGDP(国内総生産)比2%にすれば、世界3位の軍事大国になり、アジア各国に軍事的緊張を引き起こします。
二つ目は、「自分の国は自分で守る、そのための反撃能力」というウソです。海岸線に原発が並び、穀物の71%、エネルギーの89%を海外からの船の輸送に頼る日本は、敵基地攻撃能力という名目で先制攻撃を始めた瞬間が「終わり」です。国民は食べ物もなく、多くが飢え死にせざるをえません。だからこそ、憲法9条は戦力不保持を決めました。
元法政大学総長の田中優子さんは「数年後に徴兵される可能性があることを若者に伝えるべきだ」と発信しています。タレントのタモリさんが言った「新しい戦前」にしてはならない、そのために立ち上がろうではありませんか。
農政を変える共同のたたかいを追求
今こそ、踏ん張り時です。農民連こそ、平和憲法と農業、食料を語る力があると思います。子どもにはミサイルよりミルクです。10兆円の軍事費と2・3兆円の農業予算を逆転して食料増産できる農業再生が必要です。
コロナ禍とウクライナ危機で日本農業のぜい弱性が浮き彫りになりました。農民連はその事実を国民に知らせ、国内での増産を呼びかけました。政府自民党でも、これまでの農政の行き詰まりから、食料・農業・農村基本法の見直しや「食料安全保障」を議論しています。
しかし、国の財政審議会は、ハナから「(食料の)自給率や備蓄の強化がことさらに強調された議論にならないよう十分注意しなければならない」と釘を刺し、「(食料の)輸入国を見れば、友好国や民主主義国、市場主義の国からの調達がほとんど」、そこと仲良くしていればよいという無責任・能天気なものです。「お金さえ出せば食料は手に入る」時代はすでに終わりを告げました。そのために、この2年間のたたかいから学ぶことは何か。
亡国農政を変えるため、農民連は、▼米危機打開では価格保障と同時に貧困層への食料支援制度の創設で反貧困ネットワークなどと、▼水田活用交付金の見直しでは広く自治体首長や農協などと、▼畜産危機では個人要望書運動で全国商工団体連合会や畜産団体とともに、▼食料危機の学習では新日本婦人の会などと、▼さらに家族農林漁業プラットフォーム・ジャパンやアグロエコロジー推進委員会を公開でやるなど、幅広い団体や個人と要求をしっかり共有して活動してきました。
現場から声が上がり始めると立憲野党も動きます。21年の9・24集会は5野党がそろい踏みし、事態を動かしました。22年の11・30集会では酪農家、金谷雅史さんの「酪農やばいです」のユーチューブが再生回数10万回を超え、テレビ・ネットでの放映・拡散は数百万人の人々に届き、与党にも動揺を与え、局面を変えてきました。
農民連が「大闘争のための大同団結・総結集」を誠実に追求し、その共同の力で事態を打開する努力を行ってきた結果だと思います。
農民連の存在意義 確信に意思統一
そうした努力のなかで、3年連続で組織的前進をめざしました。
離農が雪崩のように進んでいます。こんな中でも、拡大運動を呼びかけるたびに仲間が増えています。10月からの運動でも60人を超える仲間と110人を超える新聞「農民」読者が増えています。
しかし、結果は、会員、読者ともに全国で前進するまでに至りませんでした。大事なことは、大きな流れとして、農民連が国民から注目され、前進する方向に向かっているかどうかです。
「農民の苦悩あるところ農民連あり」と、面識のない畜産農家・酪農家に足を運んだ取り組みで1000人を超える個人要望書を集めたことは画期的で貴重な財産です。前進できる客観的条件は広がっています。
はっきりしていることは、農民連が結成されて34年、この間の日本の食料と農業問題がクローズアップされるときには必ず農民連のたたかいがあったことです。農業つぶしに対抗し、離農を食い止め、未来に向け、日本農業を再生するためにアグロエコロジーに一生懸命取り組んでいる農民連の存在意義は明確です。
このことを確信にして、みんなが前を向いて一斉に走り出すための意思統一がしっかりできたといえる大会になるようがんばりましょう。
25回大会で選出された新役員
(敬称略)
会長 長谷川敏郎
副会長 沖津由子、小倉毅、笹渡義夫、根本敬
財政責任者 鈴木弥弘
事務局長 藤原麻子
事務局次長 岡崎衆史、満川暁代(新)、来住誠太郎
常任委員 浅子紀子、植村隆昭(新)、宇田篤弘、大沢稔、岡田現三、岡野忠(新)、勝又真史、菊池敏郎、久保田みき子、齋藤敏之、佐々木健洋(新)、鈴木亮、関根耕太郎、種石かおり(新)、野田睦美(新)、八田純人、原田愛子、平間徹也、藤嶋嘉子(新)、真嶋良孝、水越久男(新)、目黒奈美子、森淳一、森島倫生、森本吉秀、森吉秀樹、安田政教、山崎正子、湯川喜朗、吉川利明
会計監査 上原正、國母克行(新)、越川洋一
顧問 赤間守、小林恭子、佐藤長右衛門、白石淳一、高橋嘉一郎、高橋マス子、堂前貢、飛田元雄、中津孝司、町田拡、村尻勝信、森谷精、横山昭三
25回大会への団体・個人からのメッセージ
(順不同・敬称略)
全国農業協同組合中央会、全日本農民組合連合会、日本国民救援会中央本部、憲法改悪阻止各界連絡会議(憲法会議)、航空労組連絡会、日本国家公務員労働組合連合会、「軍事費を削って、くらしと福祉・教育の充実を」国民大運動実行委員会、自交総連、日本自治体労働組合総連合、自由法曹団、消費税をなくす全国の会、日本青年団協議会、全日本国立医療労働組合、全司法労働組合、全法務省労働組合、全日本民主医療機関連合会、日本民主青年同盟、明治乳業争議団・争議支援共闘会議、郵政産業労働者ユニオン、全国検数労連、国土交通労働組合、全国農業協同組合労働組合連合会、全税関労働組合、全日本建設交運一般労働組合、全日本年金者組合、東京土建一般労働組合、東京地方労働組合評議会、日本医療労働組合連合会、消費税廃止各界連絡会、全国商工団体連合会、全日本教職員組合、一般社団法人全日本視覚障害者協議会、全労連・全国一般労働組合東京地本、東京教職員組合、全国福祉保育労働組合、日本文化厚生農業協同組合連合会、なんてったって!伝統食の会、原発問題住民運動全国連絡センター、働くもののいのちと健康を守る全国センター、日本婦人団体連合会、婦人民主クラブ、平和・民主・革新の日本をめざす全国の会(全国革新懇)、パルシステム生活協同組合連合会、農政懇(国民本位の行政をめざす農林水産の会)、秋田雨雀・土方与志記念青年劇場、あかつき印刷株式会社、株式会社教宣文化社、かもがわ出版、株式会社ダンアート、原水爆禁止日本協議会、家庭栄養研究会、公害・地球環境問題懇談会、光陽メディア、小松泰信、自治体問題研究所、全経済産業労働組合、全国印刷出版産業労働組合総連合会、全国厚生連労働組合連合会、全国生活と健康を守る連合会、全国生協労働組合連合会、全国大学生活協同組合連合会、全国米穀販売事業共済協同組合、治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟、東京争議団共闘会議、東京都学校生活協同組合、日本金属製造情報通信労働組合、日本出版労働組合連合会、日本母親大会連絡会、日本労働者協同組合連合会、株式会社富士国際旅行社、山田正彦、節夫文庫運営委員会、全国保険医団体連合会
国会・地方議員からのメッセージ
(順不同・敬称略)
吉良よし子、山添拓、紙智子、倉林明子、田村智子、岩渕友、逢坂誠二、山下芳生、宮本徹、高橋千鶴子、本村伸子、笠井亮、石垣のりこ、田村貴昭、井上哲士、宮本岳志、打越さく良、仁比聡平、福島みずほ、伊藤岳、田名部匡代、日本共産党大田区議団、日本共産党東京都議会議員団
(新聞「農民」2023.1.30付)
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