有機野菜ボックスの生産者・消費者などで
オーガニック収穫祭
栃木 県産直センターと県新婦人
参加型認証の実現へ
生産状況を一緒に確認
栃木県産直センターと県の新日本婦人の会が2022年4月に始めた「有機野菜ボックス」。そのとりくみが初年の暮れを迎えた昨年の12月11日、「オーガニック収穫祭」が行われました。
会場となった國母克行・栃木農民連会長の、こくぼ農園(真岡(もおか)市)には、野菜などの産直店が出され、生産者やボックス利用者、消費者、大学院生、取引のある事業者など約40人が集まりました。
アグロエコロジーの一環として
今回の「収穫祭」開催の目的の一つが、「生産者と消費者が一緒に有機農産物の生産状況を確認し、参加型認証につなげる」ことでした。
現在「有機野菜ボックス」に野菜を提供している生産者2人のほ場を「栽培状況確認表」の項目にそって参加者と一緒に確認しました。確認表は16項目あり、種・苗の調達先や肥料・農薬の種類や使用・不使用、雑草対策の方法、農機具や出荷施設の専用・兼用などを選択し記述します。
こくぼ農園のほ場では國母さんが「肥料は大豆・エゴマの油かすや菜種かすを使い、害虫対策にはハーブやマリーゴールドを植えたり、混植・天敵を利用している。栽培計画は輪作の組み合わせを大事にして、総合的に資材高騰の影響が少ない生産ができている」などと説明。他の生産者や参加者との意欲的な意見交換の場になりました。
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こくぼ農園のほ場で生産状況を参加者に説明する國母会長(左から2人目) |
顔が見える信頼関係を大切に
持続可能な農業を地域で実践
一番の認証は消費者との信頼
全体の交流会でも活発なやり取りが行われました。いま「有機野菜ボックス」の供給は月に一度。4〜5品目を55軒に届けています。
「値段と量との関係で時々少ない、と思うときがある」という利用者の声に、もう一人の提供農家の「まんまる農園」(真岡市)の丸山尚史さんは「生産者に向かって言いにくい意見を言ってもらえた。同じ野菜でも先月と今月では時期の巡りで大きさも変わるので、量が多いときは『今月はたくさん取れたんだな』と思っていただけたら」と応答。
産直センターの小室史人さんは「皆さんの声を聞きながら、生産者と消費者をつなぐ役割を果たしていきたい」と話しました。ボックス提供に参加していない生産者からは「有機JAS認証を5年前にとったが、まだ一度も出荷で使っていない。一番の認証は直接消費者と話すことだと思う。どういう形かは分からないが、今後ぜひ協力したい」と話し、会場は「23年は月2回を目指そう」と盛り上がりました。
次の世代へつなげたい
同日午後には、まんまる農園とグリーンウインド(産直センターに有機米を卸している事業所、本社は芳賀町)にも参加者が分散して訪れ、同じ「確認表」にそってほ場見学をしました。
國母さんは「生産者と消費者の顔が見える関係を大切にして継続・発展させたい。信頼関係があれば、この先、若い世代の農家の生活が成り立ったうえで意欲的に有機農産物を作ることにつながるはず」と話しました。
(新聞「農民」2023.1.16付)
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