住民本位の復興と
防災対策求め
災害対策全国交流集会2022開催
農業者も含めた協働での
流域治水が必要
政府の被災者切り捨てを許さず、公的責任による被災者本位の復旧・復興の課題と防災・減災対策にどう生かすかを考え、交流し、学ぶため、「災害対策全国交流集会2022」が11月6日に開催されました。主催は全国災対連(災害被災者支援と災害対策改善を求める全国連絡会)などで構成する同実行委員会です。オンラインで98カ所、100人以上の参加がありました。
主催者あいさつで小畑雅子代表世話人(全労連議長)は「政府はコロナ禍や大規模災害を口実に緊急事態条項の導入をねらっている。しかし、災害時に必要なのは現場の自治体がすぐに動けるよう、権限・予算を移行させることで、緊急事態条項で中央集権にすることは逆効果」と指摘。「大軍拡や改憲ではなく、国民の命とくらし守る政治が重要だ」と訴えました。
基調報告では前橋工科大学名誉教授の土屋光圀さんが「気象危機! 激甚化する豪雨災害に備えるために〜流域治水の課題〜」と題して講演しました。
土屋教授は水害による犠牲者は減ってきたが水害による資産の被害は増加していることを紹介。河川の水害対策の未完成、低い橋に流木が引っ掛かるなど水害の要因を指摘し、特に第一次産業の生産者への補償も含めて、あらゆる関係者が協働して持続可能な流域治水を行う必要があると訴えました。
災害対策と社会的運動
連携させ進めよう
5つのテーマに分かれて分散会を実施。第3分科会では東京大学名誉教授の平田直さんが今年5月に出された東京都の首都圏直下地震や南海トラフ地震の被害想定をどうとらえるのか解説。参加者からは「人員不足で過労死ラインを超える時間外労働を強いられている。また現業部門が民間委託になり、災害ごみの回収などができなくなっているところもある」という自治体職員の実態が出されました。
また、「自宅避難者をきちんと災害時の支援の中に位置づけてほしい。団地が広域避難場所になっているが、団地のどこにまで避難者を受け入れるのか、ガイドラインが必要」と日ごろの防災活動で出た要望や、「耐震化や避難計画など防災と福祉をセットに進める必要がある」などの意見を交流しました。
集会のまとめで全労連の秋山正臣副議長は「被災者再建支援法の改善など、私たちの運動が一定の成果を上げてきた。災害対策の運動と社会的な運動をうまくミックスさせて、よりよい社会づくりに向けて奮闘しよう」と呼びかけました。
(新聞「農民」2022.11.21付)
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