「農民」記事データベース20221121-1530-02

日本の畜産の灯が消える!

従来の枠組み超えた
経営への支援を今すぐ

関連/11・30畜産危機突破 緊急中央行動


畜産「緊急要望書」
第2次提出・農水省要請

 「もう限界です。地元では夫婦で命を絶った人もいます。現場に足を運び、状況を見てください」「もう酪農をやめたいが搾乳牛を買う人がおらず、やめられない」――農民連で取り組んでいる畜産農家の「緊急要望書」には、飼料をはじめ生産コストの暴騰に苦しむ畜産農家の悲鳴ともいえる悲痛な声があふれています。農民連は11月10日、農水省にこれらの「緊急要望書」の第2次分、252人分を提出するとともに、要請を行いました。

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要望書を手渡す中村さん(左端)と長谷川会長(その右隣)

 要請に先立つ11月8日には、8200億円に及ぶ2022年度の第2次補正予算が公表されましたが、畜産農家の窮状を直接救済する支援策は皆無に等しい内容でした。要請で農民連は、「従来の枠組みにとらわれない抜本的な経営支援」と、「コスト上昇分を価格転嫁できるよう、国が責任をもってメーカーなどに働きかけること」をあらためて要求しました。

 しかし農水省は、「経営への補てんは所得補償となり、難しい」「安い輸入バターや脱脂粉乳の需要を満たす必要があるので、輸入量は減らせない」「配合飼料への支援が行われており、豚価も比較的高いので、豚マルキン(肉豚経営安定交付金)は発動できない」などと、畜産農家の危機的状況に背を向ける姿勢に終始し、参加者から強い抗議の声が上がりました。

 千葉県の酪農家の中村種良さんは、「今の乳価では所得どころか、酪農には不可欠の電気代も事欠くほどだ。採算が合わず若い人からやめている。酪農がなくなってしまうくらい深刻な事態だ」と抗議。

 また、「畜産農家がいなくなる事態なのに、なぜそんなに悠長なのか。現場の苦しみを本当にわかっていない。新しい予算を作ってでも対策をとるべきだ」(福島県・佐々木健洋事務局長)、「酪農家の奥さんは『一生懸命に世話をして、生まれてきた子牛が市場で売れなくて、安楽死させるしかない』と苦しんでいる。わかりますか、この気持ちが」(青森県・沖津由子さん)と、強い抗議の声が相次ぎました。

 笹渡義夫副会長はあらためて、「畜産農家が生きるか死ぬかというに、既存の制度ではセーフティーネットになっていないのが現状だ。従来の枠にとらわれず、一刻も早く危機に見合った直接支援をしてほしい」と重ねて求めました。

 要請には、日本共産党の田村貴昭衆院議員が同席しました。


政府に直訴 日本の畜産の灯を消すな!
11・30畜産危機突破 緊急中央行動
 配合飼料、輸入乾牧草などあらゆる資材が暴騰しているのに畜産物価格はそのまま。このままでは日本から畜産が消えかねません。国民の食の一大事です。
 飼料高騰は畜産農民のせいではありません。政府の今の対策では危機は救えません。畜産危機を打開する追加の緊急対策が絶対に必要です。
 政府への「緊急要望書」に畜産農民の要求を書き込み、全国から集まりましょう。畜産農民も段取りをとって結集しましょう。広く市民の皆さんのご参加を呼びかけます。
 ▼日時 11月30日(水)午後1時〜3時
 ▼内容 (1)農水省前集会 各地の畜産農民の怒りのスピーチ、東京大学大学院・鈴木宣弘教授もお話しします。
  (2)第3次「緊急要望書」提出
  (3)農水省交渉
 ▼主催 農民連・全国食健連

(新聞「農民」2022.11.21付)
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2022年11月

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