「農民」記事データベース20221114-1529-14

愛知県の渥美どろんこ村が絵本を作成
『たべる たべる いのちをたべる』

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食べ物の命の返しかたを問いかける

 愛知県田原市で野菜や米の生産、豚やヤギ、鶏も飼育して、生産から加工、販売と、子どもからおとなまで農業・農村生活体験を受け入れている渥美どろんこ村(アツミ産直センター会員)が絵本『たべる たべる いのちをたべる』を8月に発行しました。

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 絵本のもととなったのは、農業体験後に子どもたちに読み聞かせていた紙芝居でした。「農家の暮らし体験を受け入れて23年になります。手作りの紙芝居を体験後に読み聞かせているなかで、自分で考えて、自分を見つめるきっかけになると感じていました。体験に来ていない人にも伝えられないかと、今回絵本を作りました」と筆者の渡部千美江さんは話します。

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ヤギと渡部さん

 絵本には豚がお菓子を食べるという描写が出てきます。「食品や加工の残さなどを豚が食べています。こんなにも多くのものが捨てられているということを伝えたくて、子どもたちにはお菓子のくずを豚に食べさせるところを見せています。みりんの搾りかすなどを与えても子どもたちは何も言いませんが、お菓子のくずを与えると『もったいない』と声が上がります。社会の問題に目を向けるきっかけになればと、絵本にも書きました」と狙いを話します。

子どももおとなも読んでほしい

 「『命をいただくことに感謝しよう』いう本はありますが、そこからどうするのかが大切です。かわいいとは言っても農家は食べるために生き物を飼っています。おいしくて楽しいだけじゃなく、汚かったり、臭かったりといった現実を知ったうえで、『お金さえあればもっと豊かになれる』とは違う感覚に気づき、自分で考えて自分の行動(いのちの返し方)を選択できる人になってほしいという願いを込めて書きました」と渡部さん。

 「ぜひ、子どもたちだけでなく、子育て中の人や、保育・教育に関わる人など、おとなにも読んでほしいです。人生の選択に、農に関わることを選択肢として持ってもらえたらうれしいです」と話していました。

 『たべる たべる いのちをたべる』
 さく・え わたなべちみえ
 発行 ブイツーソリューション
 定価 1500円+税
 注文・問い合わせ 渥美どろんこ村 0531(37)0996


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富山県富山市 金崎美穂子

(新聞「農民」2022.11.14付)
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2022年11月

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