「農民」記事データベース20221114-1529-10

今すぐ乳価引き上げと
経営継続へ支援が必要

 10月29日、千葉県農民連の梅澤準事務局次長、信川幸之助事務局員と農民連本部の満川暁代常任委員は、千葉県内の畜産農家を訪問し、畜産農家の緊急要望書への参加を呼びかけ、懇談しました。


若い酪農家も離農
「酪農の将来見通せない」
酪農家の悲鳴、政治に届けよう

 いすみ市内で乳牛約150頭を飼育する高秀牧場の代表取締役・高橋憲二さんは、千葉県北部酪農農業協同組合の組合長でもあります。

 輸入牧草が高騰 自給飼料増産を

 高橋さんは、「いま一番大変なのは輸入牧草の値段が2倍近くに上がっていること。配合飼料と違って価格安定制度がなく、多くの農家が輸入牧草に頼っているのが現状」と説明。11月から飲用向けの乳価が1キロあたり10円引き上げられましたが、地域の耕種農家と連携して自給飼料を給餌できている自身の牧場でも、「20円は上がってほしかった」と話します。

 県内では先月から酪農家の離農が相次いでいます。「40代の若い農家が、酪農の将来に見通しが持てない、と辞める決断をしたのはショックだった。ここに来て離農の動きに拍車がかかってきている」

 千葉北部酪農協では、輸入飼料に頼らない畜産経営の確立をめざして、コントラクター(飼料作物の収穫作業等を受託する組織)や、TMRセンター(飼料混合・調整する酪農支援組織)を2025年から本格稼働させる準備をしています。

 しかし組合員からは、「あと3年ももたない」という声が多く上がっていると言います。「電気代や他の資材なども軒並み高騰し、生活費も出ないほど酪農家は追い詰められている。一刻も早く経営を守る支援がなければ、もっと離農してしまう」と、強い危機感をにじませました。

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煖エさん(右)と懇談する信川さん(中央)と梅澤さん

 再生産可能な経財構造に転換を

 また同時に、高橋さんは、「経済の構造自体を変えないといけない」と言います。「日本は労働者の賃金が安すぎて、物価を上げられない。思い切って給料を引き上げ、物価も生産費に見合った水準に上げて経済をまわす。畜産農家だけでなく、農業全体が大変な中で、農家が再生産できる価格を実現しないと日本は本当にダメになる」と語気を強めます。

 高秀牧場では以前から牛ふんたい肥を活用した「循環型酪農」を実施し、千葉北部酪農協では「ほぼお米育ち牛」と呼んでいる飼料用米の肉牛肥育への挑戦をしています。

 若手から「デモ行進しないのか」

 農民連の要望書の取り組みについて「今はいろんな所から声を上げるとき」と述べ、「昨日、若い生産者から『この畜産危機に対して、畜産農家のデモはしないのか』と聞かれた」とのことで、農民連が11月30日に予定している農水省前行動への参加を改めて呼びかけることになりました。

(新聞「農民」2022.11.14付)
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2022年11月

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