JAL不当解雇から12年
原職復帰と損害補償を
求めてたたかいは続く
JHU(JAL被解雇者労働組合)
山口宏弥委員長に聞く
2010年の大みそかにJAL(日本航空)でパイロット(乗員)と客室乗務員165人が不当解雇されてから、まもなく12年になろうとしています。不当解雇撤回のたたかいはいまどうなっているのか。JAL被解雇者労働組合(JHU)の山口宏弥委員長に聞きました。
争議解決へ、さらなる支援を
解決には程遠い業務委託契約
日頃よりJAL不当解雇撤回争議へのご支援をいただき、深く感謝申し上げます。
農民連の皆様には、不当解雇直後から、米や野菜をはじめ農産物を送っていただくなど、物心両面にわたる多大なご支援をいただいてきました。
この間、2015年に不当解雇撤回裁判で最高裁が乗員、客乗とも上告棄却の不当判決を出し、一方で、16年に不当労働行為行政訴訟で最高裁がJALの上告を棄却し、不当労働行為が認められるなど、争議の全面解決を求めてたたかってきました。
18年には、就任した赤坂祐二社長が「できるだけ早期に解決したい」と表明し、それからすでに4年半が経過しました。JALは再建後、解雇した乗務員を復職させないまま、パイロット397人、客室乗務員6205人を採用しています。
しかし、今日に至るまで、全面解決につながる回答は一切示されませんでした。そうした中、今年の7月29日に日本航空乗員組合(JFU)と日本航空キャビンクルーユニオン(CCU)が、会社提案の「業務委託契約」を受け入れ、解雇争議解決の協定書(JFU)、合意書(CCU)に調印し、両組合は12年に及ぶ争議を終結させました。
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たたかいの継続を誓うJHUの(左から)山田純江書記次長、山口委員長、石賀多鶴子副委員長 |
JHU結成して全面解決求める
会社提案の「業務委託契約」とは、業務委託の受託者として業務を行うことで、月額12万5千円の報酬を2年間支払うというものです。私たちは、業務委託契約は「雇用によらない働き方」であり、労働法制が適用されず不安定雇用を拡大するものと考えます。
“モノ言う労働者の排除”と“労働組合の弱体化”を狙った不当な解雇に対して、雇用の回復を求めて12年たたかってきた争議の解決策としては、とても受け入れられるものではありません。
私は解雇されて間もなく60歳定年を迎え組合員資格を失い、非組合員のまま争議を続けてきました。21年4月、こう着状況を打開するために、団体交渉を求めて、私を含めた元機長原告3人でJHUを結成しました。JHUは、「原職復帰」と「損害を補償する解決金」を求めて、JFU、CCUと共闘し、解決をめざすことを表明しました。ところが、JFUとCCU執行部は、「JHUとは共闘しない」との方針を決めて会社に通告しました。
さらにCCU執行部は被解雇者組合員に「白紙全権委任」を求め、これに反対した組合員19人を交渉の対象から外しました。その後、19人は12月の大会で「組合員資格」をはく奪されたため、JHUに結集することになりました。
一方、JFU所属の被解雇者16人は、争議終結方針に納得せず、JFUを脱退して争議の継続を表明しました。
雇用と空の安全守る運動さらに
現在、東京都労働委員会で、JALと国土交通省による不当労働行為事件の調査が進められています。昨年6月に超党派20人の国会議員が早期解決を求める要望書を都労委に提出。今年7月と9月には「学者・研究者144人によるJAL争議の早期全面解決を求める声明」が都労委に提出されました。
私たちのたたかいは「労働者の雇用」を守るたたかいであり、同時に「空の安全」を守るたたかいでもあります。2労組が争議を終結した今、JHUは納得できる解決に向けて、運動を大きく広げていく決意です。
私たちは、支援者と連帯し全国に運動を広げ、要求で一致する全ての団体・個人の皆さんと協力し、争議の全面解決に向けて全力でたたかいます。農民連の皆様、引き続くたたかいへのご支援をよろしくお願いいたします。
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JAL争議の早期全面解決をめざす総決起集会
とき 12月8日(木)午後6時半〜
ところ 東京・文京区民センター3階会議室A
主催 JAL争議の早期全面解決をめざす実行委員会 電話 03(3265)2905
(新聞「農民」2022.11.7付)
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