「農民」記事データベース20221107-1528-02

止まらない
円安・物価高

岸田政権 支持率低下


「支持」わずか27%

 菅政権末期と同じ不人気ぶり

 岸田政権の支持率急落と円安・物価高が止まりません。

 毎日新聞の世論調査によると、岸田政権支持は27%、不支持は65%(図1)。菅政権の末期は26%、66%でしたから、国民的不人気ぶりは同じレベルです。

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 国葬、軍拡、原発推進、マイナンバーカード義務化など、やってはならないことはやるが、円安・物価高対策や統一協会と自民党の癒着の解明など、やるべきことは“からっきしダメ”の岸田政権に対し、国民が「三くだり半」を突き付けた状況です。

 しかし、「首相周辺は『これだけ叩かれても、まだ支持率は40%近い』なんてのん気なことを言っている」(自民党中堅議員)というのですから、「強気」なのか「極楽トンボ」なのか……。

 円安の“主犯”はアベノミクス

 昨年は1ドル109円台だった為替相場は145円超。昨年は109円で輸入できたものが145円出さなければ輸入できず、これだけでエネルギーと輸入食料、肥料・飼料は30%強値上がりしています。

 円安が進む要因は(1)金融政策(金利が低い国の通貨は安くなる)と(2)貿易収支(赤字の国の通貨は安くなる)です。

 紙幣を刷る「輪転機をじゃんじゃん回して」(安倍元首相)、大量のお金を金融市場に供給することで超低金利と物価高、円安を誘導してきたアベノミクスが円安の“主犯”です。

 毎日新聞の調査では、岸田政権の物価対策を「評価しない」は75%で「評価する」11%の約7倍。日銀の金融緩和政策を「見直すべき」は55%、「続けるべき」22%をはるかに上回っています。

 しかし岸田首相は、こういう国民の意見には全く「聞く耳」を持たず、黒田日銀総裁は「低金利政策を維持する」と言い放って、円安をあおる始末です。

 その一方で、政府はあわてて24年ぶりの「ドル売り・円買い介入」に踏み切り、円安是正に乗り出しましたが、効果があったのは1日だけ。“焼け石に水”にもなりません。

 円安放置と為替介入という岸田政権の右往左往・支離滅裂ぶりを、世界的な為替投機家は次のように皮肉っています。

 「日本政府は、円の価値を下げたくて仕方ないようだ。ブレーキとアクセルを同時に踏むような政策では、円安も物価高も止まるはずがない。私なら、国民の負担を減らすため、ただちに減税する」(「週刊現代」10月29日)

 アベノミクスにしばられて円安に打つ手なし、消費税引き下げは断固拒否の岸田政治のもとで、国民生活は深刻さを増すばかりです。

 決め手は消費税減税と賃上げ

 エコノミストの試算によると、「総合経済対策」を実施しても「2人以上世帯の家計の負担は前年度から約12万1千円増える」といいます(朝日10月29日)。飼料・肥料・燃油高を価格に転嫁できない農家の危機はもっと深刻です。

 打開する決め手はないのでしょうか? あります。

 (1)アベノミクスによる「異次元の金融緩和」を転換して異常円安を是正するとともに、緊急策として(2)消費税減税に踏み切ること、(3)大企業に対する優遇税制を是正して生まれる財源で、政治の責任で強力な賃金引き上げ政策を断行することです。

 消費税を緊急に5%引き下げれば物価は5%下がり、ゼロにすれば8〜10%下がります。しかし、岸田政権はこれを頑固に拒否するどころか、政府税調では10%からさらに引き上げることまで検討し始めています。狂気の沙汰です。

 賃上げはどうか。日本はこの30年近く賃金が下がり続けてきた唯一の国です(図2)。

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 ところが岸田政権の方針は、(1)来年の春闘で賃上げが実現するかもしれないという甘い見通しと、(2)企業の生産性を向上させ、構造的な賃上げの実現を目指して5年間で1兆円を投資するというもの。いずれも現在の事態の解決には何の役にも立ちません。

 岸田氏は自民党総裁選で大企業と大資産家に対する課税強化を打ち出していましたが、さっさと引っ込めてしまいました。

 巨大に積み上がった大企業の内部留保の一部に対する課税などを財源に、政治の責任で賃金引き上げ政策を断行することこそが求められています。

  ※岸田政権の総合経済対策については続報します。

(新聞「農民」2022.11.7付)
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2022年11月

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