第67回日本母親大会
in埼玉・群馬
核兵器も、基地も、原発も、戦争もない
平和で明るい未来を子どもたちに
世界の母親と女性が手をつなぎ、「核戦争から子どもたちを守りましょう」と始まった日本母親大会が、今年も埼玉県(1日目)と群馬県(2日目)で開催されました。コロナ禍を経て3年ぶりのリアル開催となった今回は、オンラインでも全国を結び、初のハイブリッド開催。リアルとオンラインを合わせて全国からのべ1万4000人余が参加・視聴しました。
持続可能性と気候正義を考える
1日目は分科会。オンラインを併用した3つの問題別集会とリアル参加のみの3つの分科会のほか、見学分科会や映画上映が行われました。
「気候正義を求める――持続可能な社会へ、今、私たちにできること」をテーマにした問題別集会には、現地参加250人余を含む700人余が参加。気候危機をキーワードに、活発に学び、語り合いました。
助言者は、気候アクティビストの名取由佳さん、気候危機対策ネットワーク代表で、プロダイバーの武本匡弘さん、昨年の農民連女性部総会の講師も務めた、OKシードプロジェクト事務局長の印鑰(いんやく)智哉さんの3人が務めました。
名取さんは、気候変動のしくみや被害、気候変動を止めるための社会的・政治的課題と市民の役割、メディア報道の重要性などを語りました。
武本さんは、サンゴの白化などプロダイバーとして世界の海に潜って目撃した温暖化の実態を、豊富な写真で紹介。南太平洋のマーシャル諸島を切り口に気候正義について語り、プラスチック問題や軍事行動による環境破壊にも触れ、「日本国憲法こそSDGs(持続可能な開発目標)の先取り」と述べました。
印鑰さんは、気候変動を止める上での土壌の重要な役割、温暖化を促進する工業的農業・畜産の弊害、有機農業やアグロエコロジーの世界的な広がりと評価の高まり、日本の食と農業に関する政策転換の重要性などを縦横に紹介しました。
政策見て投票し政治を変えよう
意見交流には、各地の新日本婦人の会や市民団体での取り組みなどが報告されたほか、農民連事務局長の藤原麻子さんも発言。気候変動と食料危機のつながりにもふれながら、肥料や飼料、資材の高騰など日本の農家がいま直面している困難をつぶさに語り、「世界ではもう食料がひっ迫しています。国内で食料を増産する政治に変えましょう」と呼びかけました。
活発な会場発言に、助言者も「まず知ることが行動につながり、希望を生む。そこに世代の違いなどない。メディアへの働きかけを強めたい」(名取さん)、「一人ひとりができることから行動を。そして気候変動を本気で止める政策を掲げた政党に投票して、政治を変えよう」(武本さん)、「理解者を広げることが、いずれ社会の変革につながる」(印鑰さん)と応じ、大きな拍手で閉会しました。
ジェンダー平等で危機の打開を
2日目は、全体会が開かれました。
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全体会でアピールする埼玉農民連女性部のみなさん |
法政大学前学長の田中優子さんが記念講演。
さまざまな分野でたたかう女性たちの運動を交流する「今日の運動」には、埼玉農民連女性部の皆さんが「食と農の危機はジェンダー平等でこそ乗り越えられる」の横断幕を持って登壇。農民連女性部副部長の浅子紀子さんが、「今こそ国内での食料増産に政策を転換し、日本の食料自給率を引き上げましょう」と訴えました。
最後に「子どもたちに『核兵器も、基地も、原発も、戦争もない平和で明るい未来』を」と呼びかけた大会アピールを大きな拍手で採択し、閉会しました。
(新聞「農民」2022.10.31付)
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