全国に広がる
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豪雨で大根畑に土砂が流入しました(8月、岩手県岩手町) |
21年2月の86自治体から約3・6倍に増えています。(実施都県と都道府県別市町村数)
農水省は21年2月、経営局長名で都道府県知事にあてて「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用した農業経営・収入保険の保険料等補助について」と題する通知を出しました。「同交付金を活用するなどして、収入保険の保険料等への補助の実施について御検討いただき、収入保険への加入の拡大を通じて、地域の農業者の経営の安定と農業の維持を図っていただきますようお願いします」と、交付金の活用を呼びかけています。
国が呼びかけているのに、まだ9県300市町村しか実施していないのが実態です。より多くの道府県・市町村に上乗せ補助を行うよう働きかけましょう。
たとえば島根県邑南(おおなん)町では、条例ではなく、臨時交付金の活用で実施期間が限られています。各自治体で、財源が「臨時交付金」か、一般財源からかを調べ、短期間の事業ではなく、恒久的に支援する制度にレベルをアップさせる運動が求められます。
農民連は、これまで何度も「白色申告も記帳義務の対象であり、白色申告を除外することは許されない。加入対象を青色申告者だけでなく、白色申告者にも広げよ」と迫ってきました。税理士の浦野広明さんも「憲法違反だ」と指摘しています(別項)。しかし、農水省は、白色申告者を対象にすることに背を向け続けています。
農民連は引き続き、白色申告者も加入対象にすることをはじめ、(1)基準価格になんらかの形で生産費を織り込む、(2)基準価格の計算にあたって極端な暴落年を除外する、(3)補てん率を90%に引き上げる、(4)農家の掛け金負担をナラシ対策(米・畑作物の収入減少影響緩和交付金)並みの25%以下に引き下げる、(5)災害共済で行われている自治体の掛け金助成を実現する――など制度の改善を求めます。
抜本的には、価格保障と所得補償の確立で農家経営を支える政策が求められています。
収入保険には青色申告を行っている個人や法人でないと加入できません(同法176条)。
青色申告は、シャウプ勧告が、記帳と自主計算の定着を「特典」つきで指導したことにより、1950年度税制改定で導入されました。それから70年を超えた現在、会計知識の向上、パソコン会計の普及、事業者団体が作成する記帳ノートなどによって青色申告者と白色申告者との間に実質的差異はありません。
したがって、収入保険から白色申告を除外する差別に合理性はなく、憲法14条が規定する法の下の平等違反となります。
収入保険は、農業経営において偶然な出来事(保険事故)によって被害を受ける多数の農民から、保険料を徴収・備蓄をして、事故に遭った農民にその備蓄から一定の金額を支払う制度です。
備蓄の範囲内で支給するという限界がありますので、限界を超えた部分は国の責任で保障する義務があります。
ですから、国は、水田活用交付金の削減撤回、米価・麦価・乳価などの価格引き上げなど文化的生存権の増進を行う義務があります(憲法25条)。
[2022年10月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
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