「農民」記事データベース20220919-1521-02

未曽有の酪農危機

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子牛価格が暴落

 飼料や資材が高騰するなか、肥育の素(もと)牛となる子牛が、和牛、乳用種の雄子牛ともに価格が暴落しています。飼料代などの高騰で肥育農家の経営が悪化し、子牛を購入できなくなっているためです。

 とくに乳用牛の雄の初生牛(いわゆるヌレ子)の下落は深刻で、農畜産業振興機構によれば、全国主要25家畜市場のヌレ子の平均価格は、今年5月には約12万円だったものが、8月平均では3万1699円と、下がり続けています。市場によってはその日の平均価格が1万円を割ることも珍しくなく、酪農家の経営も危機に直面しています。

北海道
厚岸町農民組合
執行委員長 小野寺孝一さん
リポート

 先日、出荷したオス子牛の価格は3000円でした。昨年の今頃は10万円以上していたのに。

 酪農家は、牛乳を売って得る乳代と、オス子牛や搾乳できなくなったメス牛を売って得る牛代が主な収入源です。わが家では、牛代はピーク時には900万円以上ありましたが、今年は200万円を下回りそうな状態です。

 一方、コロナ禍による需要の冷え込みで乳製品の在庫が過剰となり、十数年ぶりの生産抑制が行われましたが、乳価は低く抑えられたままです。

 エサや肥料などさまざまな生産資材の価格は高騰しており、ほとんど利益がありません。このままでは、ますます酪農家の離農に拍車がかかってしまいます。私たちの地域では、酪農の危機は地域の危機です。

 今こそ、価格保障と所得補償を充実させて、大規模化一辺倒の補助政策から家族農業を応援する政策へ、農政を転換することを訴えたい。最近は大規模化賛成だった農協組合長も「輸入飼料に頼らない、牧草を中心にした経営に転換すべき」と主張しています。

 この未曽有の酪農危機の今こそ、本来の酪農のあるべき姿を見つめ直すときです。牧草を主体にした家族経営こそが、持続可能で循環型の酪農だと思います。


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(新聞「農民」2022.9.19付)
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2022年9月

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