地方創生臨時交付金
(物価高騰対応分)活用し
地方自治体に営農継続への
支援求める運動広げよう
関連/稲刈りたけなわ
全ての県連・単組で自治体要請しよう
肥料や飼料など生産資材が軒並み高騰するなかで、農民連をはじめ国民の世論と運動におされて、国は約1兆円の補正予算を組んで「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金(コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分)」を創設。配分がすすむ都道府県や市町村ではいま、この臨時交付金を活用して、コロナ禍と資材高騰に悩む農家への支援策が実現する事例が相次いでいます。
島根県
配合飼料、牧草の高騰に
農家負担の半額を支援
「支援しないと廃業の危機」
島根県では配合飼料について、国が行う価格安定制度に加えて、国の制度を超える農家負担額の半額を県が独自に支援すること、さらに輸入牧草についても値上がり分の半額を支援することを発表しました。
島根県農民連ではこの県発表に先立つ6月20日に、県知事あてに飼料や肥料などの資材高騰対策を要請。県庁前に軽トラを並べて街頭宣伝し、その様子はテレビや地元紙でも報道され、県民への大きなアピールとなりました。
丸山達也県知事は記者会見で、「身近な生産者の農産物は価格転嫁できておらず、支援をしていかないと廃業になりかねないという危機感」を語り、畜産農家にこの難局をのりこえてほしい、という強いメッセージを発信しています。
邑南町
肥料代を町が支援 10アールあたり
野菜6000円、水稲など3000円
農民連会員との対話で苦境共有
邑南(おおなん)町では、配合飼料高騰対策として、さらに町独自で値上がり分の4分の1を上乗せ支援することを決定。また県の畜産支援策は1カ月500キロ以上を使用する比較的大きな畜産農家しか対象でなかったため、月500キロに満たない小さな畜産農家に対しては町が県支援もあわせて負担し、町では規模に関わらず畜産農家が負担する値上がり分の4分の3が支援されることになりました。
邑南町では、畜産農家だけでなく、肥料高騰対策の給付金制度も設けられ、10アールあたり野菜は6000円が、水稲や果樹、牧草など肥料を使って作るすべての農産物には3000円が支給されることになりました。また100万円以上の売り上げがある事業者(農業を含む)に向けた減収支援の給付金も町独自で行うことにしています。
邑南町がこうした積極的な農家支援に乗り出した背景には、地元JAが赤字を理由に肥育センターの廃止を打ち出したことがありました。農民連邑南センターの副会長で、和牛改良組合長の溝口定信さんらが、石橋良治町長にセンター存続を申し入れるなど、農家の苦境について町役場と話し合いを重ねるなかで、町役場の担当課長は「肥料高騰など農家の深刻さがひしひしと伝わってくる」と話すまでに。
農民連邑南センター会員で稲作・繁殖農家の長谷川直美さんは、「国の資材高騰対策はまったく不十分だけど、自治体に農家の声を届ける活動をすれば、自治体も応えてくれる、今はそのチャンスの時」と、言います。
自治体も農家の要求を受けとめ
地方自治体に臨時交付金が配分されるなか、邑南町のように自治体も農家の実態と要求を知る機会を求めており、また農家からの提案を前向きに受け止める条件が全国で広がっています。
岸田首相は9月9日にも、再度6000億円の地方向け交付金を創設する考えも示しています。すべての都道府県連や単組で自治体に要請を行い、農家の声を届けましょう。
石川
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コシヒカリの稲刈りが本格的に始まりました(白山市)
=石川県農民連・宮岸美則 |
(新聞「農民」2022.9.19付)
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