岩手・農産物供給センター水稲の初冬直播き栽培学習会開く
作業負担の分散化を図る岩手県農民連農産物供給センターは8月28日に盛岡市内で総代会を行い、あわせて「水稲の初冬直播(ま)き栽培学習会」を開催しました。学習会には30人が参加。講師に岩手大学農学部植物生命科学科の下野裕之教授を迎え、基本的な栽培体系を学びました。
水稲の直播き栽培は育苗と田植えの労力・経費を節減する技術として、この間、関心が高まっており、少しずつ面積も広がっています。しかし春に播(は)種作業が集中することから、農家負担の軽減という面では限界がありました。 これに対して初冬直播き栽培は、播種作業を初冬に前倒しすることで作業負担の分散を図るものです。下野教授は、「移植(田植え)をやれるのであれば、もちろんその方が良い。しかし、春作業を軽減するというのは大きなメリット。ひとつの選択肢として、初冬直播きが営農にプラスになることを期待している」と語ります。
12月に種をまき地温安定で越冬初冬直播き栽培では、耕起した田んぼが乾いた状態で12月ごろに種子をまき、春に発芽・苗立ちさせます。雪が積もる地域ほど地温が安定するため、まいた種子が越冬しやすくなります。さらに下野教授らは、種子に鉄粉とキヒゲンR2フロアブル(チウラム)をコーティングすることで発芽率を高める技術を開発しました。東北をはじめ各地で実践が広がっており、除草を徹底することで安定的な収量を確保しているといいます。 参加者からは、「自分たちでもできるのか」「今後どんな技術の改善が考えられるか」などの質問が寄せられました。これをうけ、下野教授は「ロータリーシーダーなどの機器を買うと100万円単位の経費がかかるが、比較的、初期投資が少なく導入できる技術。棒一本でスジつけてまくところからでもぜひ試してみてほしい。今後の展開として、コンバインで刈り取ると同時に播種をする技術も研究を進めている」と答えました。
(新聞「農民」2022.9.12付)
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[2022年9月]
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