原発をなくす全国連絡会が
連続学習会
企業の利益より
命・健康を優先する社会を
馬奈木厳太郎弁護士招き、
「生業訴訟」の判決を学ぶ
原発をなくす全国連絡会は8月23日、連続学習会を開催しました。講師は馬奈木厳太郎弁護士で「原発事故被害救済訴訟 最高裁判決と今後の課題」と題して行いました。
「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟(生業訴訟)は事故当時の場所に住み続ける人も避難している人も同じ原告団として一緒にたたかった裁判で、福島県すべての自治体や隣接自治体からも原告が参加しています。
生業訴訟の特徴について馬奈木弁護士は「第2陣も合わせて5000人を超える原告が参加。『原状回復=被害が生まれない状態。つまり原発も放射能もない状態』を求めてきました。また、原告以外の被災者の救済も求めています」と話します。
国の責任を免罪
最高裁判決批判
最高裁は東電の上告を退け、中間指針を上回る賠償を認めましたが、国の責任を争う裁判では「たとえ予見できて対策したとしても、事故は防げなかった」として国を免罪。馬奈木さんは「仮定に仮定を重ね国も免罪した、許しがたい判断です」と厳しく批判しています。
55ページの判決文のうち、半分以上の30ページにわたって反対意見が載せられています。「判決文に補足意見や反対意見として自分の意見を書くことは普通ですが、この反対意見はまるで判決文のように書かれており異例です」と馬奈木さんは指摘。
反対意見は「生存を基礎とする人格権は、憲法が保障する最も重要な価値であり、これに対し重大な被害を広く及ぼし得る事業活動を行う者が、極めて高度の安全性を確保する義務を負うとともに、国が、その義務の適切な履行を確保するため必要な規制を行うことは当然である」と国の責任を厳しく批判しています。
最後に馬奈木さんは「各地の原発訴訟は続いており、生業訴訟の第2陣も約300人が追加提訴します。この判決をはね返し『命・健康と企業の利益をてんびんにかけてはいけない』という意見を社会通念にしていくため、世論の後押しが大切です」と地域の裁判の支援や原発ゼロの共同を広げることを呼びかけました。
(新聞「農民」2022.9.12付)
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