2022年度主要農作物等の
種子生産に関するアンケートの
結果を公表
=たねと食とひと@フォーラム=
「たねと食とひと@フォーラム」は5月に実施した2022年度都道府県の主要農作物等種子生産状況に関するアンケート調査の結果をまとめ、公表しました。今年度も5月に全都道府県の担当者にメールで依頼し、6月中に全自治体から回答を得ました。調査項目は12項目。主な回答は次の通りです。
(1)2022年度予算について
21年と比べて1000万円以上の差があったのは、茨城県の約3231万円増額、秋田県の約2699万円増額でしたが、いずれも理由は「機械整備」です。大きく減額した自治体はありませんでした。
(2)奨励品種決定のための原々種・原種の生産、種子の審査等について
21年度と比べ、大きな変化は見られませんでした。「種子生産ほ場の指定」を「実施しない」は1自治体、「種子の審査」を「実施しない」は1自治体増えました。
ほ場の指定を「実施しない」 栃木県・東京都・愛知県・奈良県・佐賀県
種子の審査を「実施しない」 栃木県・東京都・奈良県
(3)ゲノム編集品種の種子生産の可能性について
21年度と同じく、「可能性がある」と回答した自治体はありませんでした。ただし、「その他」と回答した岩手県と「無回答」の宮城県は、いずれも「不明」とコメントがあり、県として把握していない状況です。また、岐阜県は「国等の社会情勢を見て判断」とコメントしています。
(4)種子生産に関する条例について
22年5月の時点で条例未制定は15都府県で、昨年度より3県減少しました。福島県・山梨県・沖縄県で新たに制定されました。未制定は青森県・東京都・神奈川県・静岡県・京都府・大阪府・奈良県・和歌山県・岡山県・山口県・香川県・高知県・佐賀県・長崎県・大分県です。
(5)国または民間企業との共同開発について
「国の研究機関との共同開発」を行っているのは13県、「民間企業との共同開発」を行っているのは5県でした。
(6)奨励品種の許諾について
登録品種の許諾申請が「必要」「一部必要」としているのは合計26道府県で55%となっています。許諾料を設定しているのは21府県です。申請は必要だが許諾料は無料、県内生産者は無料など各自治体により設定が異なります。
自由記述から
(1)気候変動に関する農業への対応策について
39道府県が具体的に回答し、そのうち27府県が「高温耐性」など高温対策に取り組んでいます。
(2)種子法が廃止されて、5年目を迎え見えてきた課題
25府県(53%)が「特に問題はない」と回答しています。特徴的な回答の要約を紹介します。
埼玉県 都道府県間連携が重要である。
鳥取県 他県との種子生産受委託推進は、県内種子価格との差や品質で問題が生じた場合、事故が起きた場合の対応など課題が山積している。
広島県 本県における取り組みは国の地方交付税を財源としているため、これがなくなると継続が困難。今後も国の財政措置は必須。
(3)主要農作物等の種子生産を継続される理由
44道府県の回答は、いずれも「安定供給」「品質確保」「農業振興」「県の責務」に関する記述でした。
◇
アンケート結果の詳細は「たねと食とひと@フォーラム」のホームページ(https://nongmseed.jp/)参照。
(新聞「農民」2022.9.5付)
|