検証 断罪
「アベノミクス」農政
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米価暴落、水田交付金カット、
物価・資材高
諸悪の根源はアベノミクス
現在、大問題になっている米価暴落と水田交付金カット、物価と肥料・飼料高騰の元凶もアベノミクスです。
“米価暴落政権”
民主党政権は価格保障に軸足を置いた戸別所得補償をスタートさせましたが、安倍元首相は2年がかりで廃止し、代わって米の生産調整廃止を打ち出しました。
国の責任で米の需給と価格を安定させることは、食糧法で定められた政府の義務です。しかし、安倍政権は2018年、法律を無視して生産調整目標の配分をやめ、少しの「過剰」でも全ての米が買いたたかれる市場原理に丸投げする方針に転換しました。米の暴落対策から国が手を引き、農家と農協に「自己責任」を押しつける究極の新自由主義政策です。
2年後にコロナ禍が襲い、米価は暴落しましたが、安倍元首相は「アベノマスク」などの愚策を繰り返したあげく、政権を投げ出しました。一方、アメリカは、コロナの影響から農家を守るために、農産物を買い上げて低所得者に食料支援を行い、価格暴落を防ぎました。
私たちは「過剰米を買い上げて食料支援に回せ」と繰り返し要求しましたが、安倍・菅・岸田政権は冷酷に拒否。
民主党政権時の12年には米価は1・4万円で、戸別所得補償とあわせて米生産費を何とか償っていました。しかし、安倍政権発足後の14年に米価が大暴落したのに続いて、21年には生産費1・5万円に対し米価は1万円ギリギリ(図)。安倍・菅・岸田政権は“米価暴落政権”だといわなければなりません。
水田活用交付金カットやめよ
食料危機のもとで、自給率が低い麦・大豆・飼料の増産が切迫した課題です。しかし、転作補助金=水田活用交付金カットは、これに全く逆行します。
水田活用交付金カットの源もアベノミクスです。財務省・財政制度等審議会は、安倍政権時代の15年以降、毎年、「転作で主食用米並みの所得が得られるように助成するという考え方から脱却せよ」と、転作補助金を目の敵にした攻撃を続けてきました。
要するに(1)水田の転作補償という発想は捨てよ、(2)麦・大豆・飼料用米などは補助金なし、価格保障なしで作れ――というものです。
水田はため池・水路などの農業水利施設と、畦によって湛(たん)水できる農地であり、土壌流出を抑え、連作障害が起きにくい優れた農業生産施設です。日本農業の豊かな発展と食料自給率向上は水田を生かしてこそ実現できます。
水田活用交付金カットをただちに中止するとともに、水田汎用化に対する支援を強め、麦や大豆・飼料の増産をはかること、飼料・糞尿(ふんにょう)の地域循環を進めることが今強く求められています。
物価・資材高に無策・無能
物価・資材高の原因も、ウクライナ危機とともに「アベノミクス」です。
安倍元首相は「異次元の金融緩和」によって異常円安と物価高、株価つり上げを進め、消費税を5%⇒8%⇒10%へと2倍に引き上げました。大企業と富裕層は内部留保と株高で大もうけする一方、賃金が20年以上にわたって伸びず、「成長しない日本」「貧しくなった日本」を作り出した真犯人はアベノミクスです。
異常円安の結果、昨年は103円で輸入できたものが135円出さなければ輸入できない――これだけで肥料や飼料などの輸入品は30%値上がりであり、ウクライナ危機による資源・穀物高が拍車をかけています。
消費税引き下げも異常円安対策も頑固に拒否し続ける岸田政治の無能・異様ぶりは際立っています。アベノミクスにしがみつき、さらにロシアのウクライナ侵略に便乗した大軍拡をもくろむ――これで国民生活も食料・農業も守れるはずはありません。
(おわり)
(新聞「農民」2022.9.5付)
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