記録的大雨被害
農民連が災害対策本部を設置
長谷川会長ら 青森・秋田を調査
水稲浸水1360ヘクタール リンゴ8割、大豆全滅
青森 自治体への働きかけ強化を
8月3日から全国で降り続いた記録的大雨により、各地に深刻な被害が出ていることを受けて、農民連は大雨災害対策本部を設置。さっそく本部責任者の長谷川敏郎会長と藤原麻子事務局長が青森県へ、副本部長の笹渡義夫副会長は秋田県に、調査に入りました。
長谷川会長と藤原事務局長は21日に、岩木川の増水で広範な浸水被害が出た弘前市大川地区を視察。30人を超える被災りんご農家から多くの切実な要望が出されました。
同地域では、3日の大雨で川の水があふれ、管理用道路が決壊し、泥と砂利が園地に流入。袋掛けしたリンゴは泥だらけになってしまいました。「しかしこの時点ではまだ木の泥を落として、泥のついていない上の方の実だけでも収穫できればと思っていた。ところが8日からの雨でさらに葉も枯れてしまっているため、来年も実がならないだろう」と、被災した農家は口々に話していました。
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土砂で埋まったりんご園を見てまわる被災農家のみなさん(弘前市) |
また、消毒ができないため、病気も増えてしまう恐れもあります。
現在も園地は泥でぬかるんだままです。しかし「砂利の撤去は、生産者自身で行え」(国土交通省)という態度で、片づけもできません。
調査には、日本共産党の高橋千鶴子衆院議員が同行しました。
実態把握はこれから
大川地区は川幅が狭いうえに、岩木川と平川が合流する水害の常襲地帯です。10年前に新堤防ができて堤防の外側に取り残された園地は「見放された」状態です。かねてから「代替地でりんご栽培ができるように、国が園地を買い上げてほしい」という要望が上がっています。この日も「買い上げ」の要望が強く出され、被災農家の皆さんは、「この先、満足な堤防もないまま、この場所で営農はできない」と、苦しい胸の内を話してくれました。
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畑を視察する長谷川会長(左端) |
倉光弘昭・つがる市長との懇談では、被害実態について丁寧な説明を受けました。市内では水稲が1360ヘクタールにわたって浸水し、リンゴは8割が収穫不可。転作の大豆もほぼ全滅という被害となっています。倉光市長は、「津軽地方14市町村でまとまって、国に対しての陳情を進めていきたい」と語りました。
翌22日は十和田市に移動し、ネギや長芋など根菜類の被害を視察しました。根菜類は収穫してみないと被害の深刻さがわかりにくく、実態把握はまだまだこれからというのが実情です。
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畑に行くのも命がけ(十和田市) |
南部農民組合の仁和竹男組合長の畑では、長雨で畑の排水能力を超える水が何日もたまり、「種芋の成長が止まってしまった。収穫は期待できない」とのこと。ゴボウは地中でホウキ状に根が分かれ、品質が悪化。長ネギでは萎凋(いちょう)病が広がっており、葉が枯れ始めています。仁和さんは、「枯れていないネギも、見た目は普通でも病気で柔らかくなって収穫するのも大変」と言います。
また農道の崩落なども発生していますが、「十和田市からは費用の1割を負担するように、と言われた」とのこと。激甚災害に指定されたため、これらの復旧についても自治体への働きかけの強化が求められています。
(新聞「農民」2022.9.5付)
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