「農民」記事データベース20220829-1518-12

旬の味


 麦刈りのシーズンになりました。わが家はご近所の農家に刈り取りの委託をしています。畑に対角線上にコンバインを配置し同じ方向に向かって2台で刈り取っていきます▼面積も多くないので半日ほどで終わるのですが、年明け早々「刈り取り料を値上げさせてほしい」と言われました。ガソリンも値上がりしているし……▼そこへ某製粉会社の代表取締役が「小麦は品質からいっても外国産にはかなわず、国産は要らない。日本は外国にとっても上得意先、品薄になることはないだろう」と強弁した▼残留農薬が検出される食パンが、どうして品質が良いとなるのだろうか? 背筋が寒くなる思いがしました。私たち生産者は、安全・安心を社会的使命と肝に銘じ、そこに誇りを持てる農業政策があれば、豊かな未来も想像できるのに▼人は、おなかいっぱいになると「あ〜幸せ」とつい口に出ます。人に一時の幸せを贈ることができるのが私たちの生業のはずなのに、本当にできているだろうかと省みるこの頃です。

(麻)

(新聞「農民」2022.8.29付)
ライン

2022年8月

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