「農民」記事データベース20220815-1517-07

広げよう!
地産地消の学校給食

寄稿
小平市議会議員(日本共産党)
東京農民連会員
細谷 正


東京 小平市
学校給食への地場産農産物の
利用率3割を達成

 東京都小平市は、都心から26キロ、多摩地域の武蔵野台地に位置する、人口19万人の住宅都市です。農地も多く残っており、329戸(2021年)の農家ががんばっています。

 小平市は、近年、学校給食での地場産農産物の使用量を大幅に伸ばしています。2004年の地場産農産物の利用率は、小学校で2・3%、中学校では3・9%にとどまっていましたが、2020年には小学校で30・1%、中学校で32・8%を達成しました。

地場産を利用する学校に
市で補助金を支給

 この大きなきっかけとなったのが、「地場産農産物導入率30%」を市の目標として2009年に創設された「小学校給食地場産農産物利用促進事業」です。これは、地場産農産物を購入した小学校に、小平市の農業関連予算から補助金を支給するもので、2020年度からはさらに、地場産使用量に応じて補助割合が高くなるしくみ(表)を取り入れるようになりました。

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 こうした制度拡充により、補助金額は2009年度で195万円余だったものが、2019年度には約400万円が支給されるまでになっています。

 JAが配送などを一括して担う

 もう一つ課題だったのが配送面でしたが、2011年度から「地産地消推進事業」で、配達にかかる人件費や燃料費などに補助金を支給することにより、配送や受注、出荷調整、請求、精算を、JA東京むさし小平支店が一括して担うことで、農家の負担が軽減され、生産に集中できるようになりました。

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JAの説明資料から

 地元の良い野菜を子どもたちに

 こうした制度を実現した背景には、地場産農産物を供給しているJAや農家の皆さんの「明日を担う子どもたちに、地元でできた良い野菜を食べてもらいたい」という強い思いがあります。

 小平市議との勉強会でJAの担当者は、「学校給食は、地産地消や食育も推進でき、農産物の販路拡大にもなる。農家にとっては安定した出荷量が見込め、価格も安定し、買い取りへの安心感につながっている。子どもたちの食べ残しも減っていると聞いている」と、話してくれました。

 一方で、学校給食ならではの苦労もあります。納品は午前7時半から8時半と時間制限つきです。栄養士さんの異動に伴う引き継ぎや、学級閉鎖などの急な数量変更などもあります。

 また、学校給食でよく使う重点品目や、出荷規格についても、JA・生産者と学校栄養士が対面して情報交換を行っています。重点品目は学校側で設定。馬鈴しょ、玉ねぎ、ニンジン、キャベツ、ブロッコリー、大根などがあります。

 都市農業振興を市政に位置づけ

 小平市の農業は、都市の強みを生かした都市農業として発展してきましたが、戸数、農地ともに年々減少する傾向にあります。一方で、新鮮で安全な農産物の地産地消や、食育への市民の関心は高く、緑地や防災などでの都市農業の重要性が認識されてきています。

 市では市内農業を振興し、農地を保全するため、「小平市農業振興計画(2018年度〜2027年度)」を策定。その一環として学校給食への地場産農産物の提供や、農家と市民との相互理解を図る機会の提供など、様々な施策が実施されています。まさに学校給食を核にした地産地消、食育の取り組みが、都市の農業と農地の保全へとつながっているのです。

(新聞「農民」2022.8.15付)
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2022年8月

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