第3回カツオサミット開く
持続可能な地域未来づくりめざして
宮城・気仙沼
カツオの魅力を発信、
さらなる需要喚起を
「第3回カツオまつりサミット」が7月22、23の両日、25年連続生鮮カツオ水揚げ量日本一を記念して宮城県気仙沼市で「持続可能な発展めざすカツオの地域未来づくり」をテーマに開催されました。市や地元漁協でつくる実行委員会が主催し、カツオに関連する22の地方自治体と全国の小規模カツオ漁船が加盟するJCFU全国沿岸漁民連絡協議会など40団体が後援団体に名を連ねました。
東日本大震災の被害乗り越えて
初日に気仙沼中央公民館で行われた記念シンポには全国から220人が参加。菅原茂気仙沼市長は「東日本大震災を乗り越え、25年間水揚げ日本一を続けた。引き続きカツオ産業を盛り上げるため活発な議論をお願いしたい」とあいさつ。続いてサミットコーディネーターを務めた日本カツオ文化研究所の二平章代表が、「気仙沼地域のカツオ漁業の始まりは、347年前の江戸時代に紀州漁民が伝えた一本釣り漁法と鰹節製造法にある。ユネスコ無形文化遺産に登録された“和食”の原点にあるのがカツオがつくりだす“うまみ”だ。カツオ消費量の減少傾向を打ち破り、伝統的カツオ漁業と地域産業を守り育てるために、北関東から東北の“カツオ消費文化圏”と気仙沼が一体となってカツオのいっそうの魅力発信・需要喚起をしていこう」と呼びかけました。
第1部では、初めに日比絵里子FAO(国連食糧農業機関)駐日連絡事務所長が「SDGs(持続可能な開発目標)をめざす世界の農業・漁業」と題して講演。ウクライナ問題も含めた世界の食糧危機、伸長を続ける世界の漁業・養殖業生産について述べた後、漁業資源の持続的利用と海洋環境の保全の重要性について訴えました。
カツオの魅力に女性や若者共感
第2部では、千葉信一氏(割烹料理元支配人)が、関西から東北までの多彩なカツオ料理を紹介し、その魅力を語りました。また、高知県中土佐町の清岡晃司氏(ど久礼もん企業組合代表理事)は、カツオ消費量日本一の高知県、中でもカツオ大好き人間が集まる中土佐町のカツオのおいしさの秘密について報告。次いで、「カツオちゃん」こと永松真依さん(渋谷かつお食堂)が、「夜遊び女子」が鰹節に魅せられ、今では子どもからお年寄りまでが集まるミシュラン認証店舗にまで「成長」した自らの人生を紹介、さらにサバジェンヌこと池田陽子さん(全日本サバ連合会広報担当)は、サバ缶詰が店頭からなくなるほどのサバブームの背景に健康志向とともに女性の心に響く若者向け料理レシピや粋な商品パッケージの開発戦略があったことを紹介、カツオ需要喚起にもこの視点が大切であることを説明しました。
最後に「カツオの魅力をこれまで以上に女性や若者に発信し、カツオ消費を拡大させ、カツオ漁業と地域のカツオ産業を発展させていこう」という気仙沼アピールを参加者一同で採択しました。
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カツオ料理の実演もありました |
ご当地グルメで本場の味楽しむ
23日には、NHK連続テレビ小説「お帰りモネ」の舞台だった内湾エリアで「全国カツオまつり」が開かれました。カツオを特産とする全国の市町の販売ブースが並び、高知県土佐清水市の宗田節、静岡県西伊豆町の「しおかつおうどん」など「ご当地グルメ」が販売され多くの観光客でにぎわいました。
(新聞「農民」2022.8.15付)
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