「農民」記事データベース20220815-1517-05

福島 原発汚染水
海洋放出するな

来春からの放出へ、国・東電が準備強行


海洋放出せずとも
抜本的解決策はある

 政府・東電は、東京電力福島第一原発事故で発生した汚染水の海洋放出を来春に計画し、準備を進めています。

 原子力規制委員会が東電の汚染水海洋放出に係る設備新設工事を許可したことを受け、7月26日、県廃炉安全監視協議会は報告書案を了承しました。その後、県原発安全確保技術検討会が確認結果報告書を知事に提出しました。

(福島県農民連 佐々木健洋)

 漁業者との約束も反故に

 政府・東電は、漁業者に対して、ALPS(多核種除去装置)処理水(汚染水)は、「漁業関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない」との約束を反故(ほご)にしました。

 福島県の常磐沖漁業は本格操業が始まったばかりですが、復興に逆行させるだけでなく、日本の漁業全体に打撃を与え、国際的信用を台無しにするものです。

 農業でも、影響が心配されています。政府は万全の対策を行い、それでも被害がある場合は損害賠償するとしています。しかし、これまでもまともに賠償に応じてこなかった政府と東電を信用することはできません。

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若者グループDAPPE(平和と平等を守る民主主義アクション)の集会(2020年7月)

 代替案の検討もせず放出ありき

 海洋放出以外の選択肢は複数、示されています。

 汚染水をこれ以上発生させない広域遮水壁は、福島大学の柴葡シ明教授が提案されています。地下水が原発建屋に流れ込むことを防止する工事ですが、既存の技術で十分対応できます。

 また、堅牢な大型タンクでの長期保管も市民団体から提案されています。ALPSで取り除けないトリチウムも12・3年が半減期なので、60年間保管すれば97%に減少し、時間が解決の糸口にもなります。

 ところが、政府はこれらの提案に、「ご意見として聞かせていただく」というだけの不誠実な対応を繰り返しています。海洋放出以外の対案を取り入れ、世界の英知を結集すれば、重層的な対応で汚染水の海洋放出は回避できます。

 福島県知事は県民の代表として海洋放出への不安や反対の声を受けとめ、「海洋放出は認められない」との立場を明確に表明し、政府に対し海洋放出中止を要請すべきです。政府・東電はこれ以上の原発事故被害を回避するためにも、海洋放出を中止するべきです。

 アルプス処理水の海洋放出反対署名にご協力を!

 ▼署名用紙はコープふくしまのホームページからダウンロードするか、福島県農民連(TEL 024・546・7229)までご連絡を。

 ▼コープふくしまのホームページから、オンライン署名もできます。

(新聞「農民」2022.8.15付)
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2022年8月

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