肥料価格高騰対策
全国の要求運動で実現
今後肥料1割低減したら
価格上昇分7割を補てん
全ての農家の申請運動で
さらなる対策の充実を!
政府は7月29日、2572億円の物価高対策を閣議決定しました。
肥料価格高騰対策として、2年間で化学肥料の使用量の1割低減に取り組む農家を対象に、価格上昇分の7割を補助するとする、総額788億円の農家への肥料購入費補助を決定しました。
コロナウイルス感染症と物価高対策の予備費(約5兆円)から拠出されるので、国会審議は行わずに支出される予定です。
さらに要求運動の強化、すべての農家の申請運動で対策の充実を
農民連は、飼料、肥料はじめ生産資材の値上がりで、大規模経営でも採算を取ることができない事態の中で、農家への直接支援策を求めて国や自治体への要請行動を全国で取り組んできました。農水省には要請だけでなく、非公式の懇談も重ねてきました。
土壌診断や肥料投入抑制などは、現場の農家はすでに実施しており、2割もの低減は現実には実行不可能であり、要件の緩和や申請手続きの簡素化なども求めてきました。
〈肥料価格高騰対策〉
全国の要求運動で実現
今後肥料1割低減すれば
価格上昇分7割を補てん
今回、農水省も現場の声を反映し、当面、2割低減を1割へ緩和し、既実施の低減の取り組みを判定要件とするなど、不十分ながら、農民連などの要求が一定反映されたものとなっています。
しかし、施肥の「1割」低減を前提にした高騰分の7割補てんでしかないことや、6月以前の高騰分は対象外であること、支払時期も遅く、来年5月以降の対策については今後検討など、まだまだ不十分です。
5戸以上の農家グループで、JAや肥料商などを通じて、都道府県ごとに設ける協議会に申請します。農民連や産直組織も対象になります。申請時期は9月以降となります。すべての農家に対策の中身を知らせ、新聞「農民」・会員拡大とともに、高騰分相当の全額補助をめざして申請運動と地方自治体への要求運動を全国で展開しましょう。
〇支援対象となる肥料購入期間と全国一律の支援額の算定
全農が大幅値上げを行った2022年6月〜23年5月分までの1年間を対象に前年と比較して支給額を算定する。
年内支給分としては、9月までを対象としている農業物価統計が10月に公表されることもあり、22年6月〜9月に購入した分を対象に支給額を算定して申請を受け付ける方向。
〇低減の取り組みメニューの例
「低減」対策の判定は、すでに取り組んでいるもの、来年に取り組むものを「取り組みメニュー」の中からそれぞれ選ぶ方式とし、事務手続きの簡素化にもつなげるとしています。
・土壌診断による施肥設計
・生育診断による施肥設計
・堆肥の利用、下水汚泥の利用など国内資源の利用
・有機質肥料の利用
・緑肥作物の利用
・局所施肥(側条施肥、ドローンの活用等)の利用
・地域特認技術(都道府県協議会が認める技術)の利用など
(新聞「農民」2022.8.15付)
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